優勝を争うカードで、慶大は打順を組み替えた打線がつながり、12安打7点で明大に先勝した。善波力(つとむ)捕手(3年=慶応)は、父の明大・善波達也前監督(59)が見守る前で2安打3打点と存在感を見せた。立大は今秋ドラフト候補右腕の荘司康誠投手(4年=新潟明訓)が、7回2/3を無失点と試合をつくり、2勝目を挙げた。

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肩もよし! 打撃もよし! 善波が、攻守で持ち味を発揮した。3-0から1点を返された直後の3回2死一、二塁、明大の先発・蒔田稔投手(3年=九州学院)の2球目を捉えて、中前適時打で1点を挙げた。「打席に入る前に頭の中を整理して、シンプルに割り切っていることがうまくいったと思う」と振り返った。

さらに、5回も適時中前打。7回1死三塁では右犠飛と、勝負強さを見せた。2安打3打点で、打率は3割1分8厘まで上げた。父が監督を務めた明大相手だが「特別な気持ちはありません」ときっぱり。明大にも慶大にも縁のある父は「真ん中に座って見ます」とバックネット裏センターライン延長線上のスタンドで観戦していた。

守備でも、流れを引き寄せた。5-3と迫られた6回2死一塁、3球目にスタートを切った走者をしっかり刺した。東大に次ぐリーグ2位の14盗塁を誇る明大を相手に、1週間をかけてスローイングの練習を重ねていた。ステップの踏み込みを意識することで、送球が安定。今春全9試合でスタメンマスクを任されており「求められているのは、守ること。1つのアウトをどう取るか、1人の打者との対戦に集中できている」。堀井哲也監督(60)は「あのプレーは大きかった。よく頑張ってくれている。まずは守備面と伝えている。(打撃は)ボーナスですね」と評価。扇の要として、チームを支える。【保坂恭子】

◆善波力(よしなみ・つとむ)2001年(平13)4月14日生まれ、神奈川・綾瀬市出身。小3の時に吉岡サプリングスで野球を始め、三塁、投手を経て、捕手に転向した。中学時代は麻生ボーイズ。慶応では1年夏からベンチ入りし、秋から正捕手。2年時の18年に春夏連続で甲子園出場。慶大では今春リーグ戦デビュー。尊敬する人は父。家族は両親と姉2人。170センチ、77キロ。右投げ右打ち。

▽慶大・増居翔太投手(通算10勝目を挙げ)「素直にうれしいですが、過去の先輩方の記録のすごさを実感した。苦しい投球だったが、なんとか勝ててよかった」