中日根尾昂外野手(22)が1軍プロ初登板を、打席にも立つ「二刀流」で飾った。控え野手でベンチ入りし1-10の8回に谷元の後を受けて6番手としてマウンドへ。1イニングで打者4人に15球を投げ、1安打無失点だった。9回はそのまま打席に入り、ケムナの前に一ゴロに倒れた。

8回は先頭の坂倉の初球に大阪桐蔭時代の最速に並ぶ150キロを計測し、2球目を右前に運ばれた。続く同じ18年ドラフト1位の小園は147キロで右飛、さらに磯村は中飛。最後は中村健をフルカウントからニゴロに仕留めた。

大量ビハイドでの登板だったが、「素直に抑えられてうれしいです。どんどんストライクを取っていこうと思いました」と汗を拭った。ともに超高校級として注目された大阪桐蔭時代には報徳学園の小園と公式戦で対戦はなく、プロで初対戦を迎え「相手がというよりアウトが取れて良かったです」と振り返った。

4回裏を終えて立浪監督から登板準備をするよう告げられ、5回表の攻撃中にベンチを離れ、6回からブルペンで肩を作っていた。指揮官は「昨日もああいう(大差の)展開で投手が足りなかった」と説明。「真っすぐとスライダーしかないが四球は出さなかった。ストライクを投げられるだけでも」と投球内容を評価した。今後の起用について「根尾のことを生かさないといけない」と言及した。

根尾は8日のウエスタン・リーグ阪神戦(甲子園)では「2番遊撃」で先発出場し、9回に5番手で登板。打者5人に20球を投げ3安打を浴びて1失点、2/3回で降板して再び遊撃に戻った。最速はこの日と同じ150キロだった。その際、立浪監督は「気分転換に投げさせた。中途半端にならないようにショートとして守備、打撃をやってもらえればいい」と説明したが、本人は「機会があれば、次は点を取られないように頑張ります」と再登板にやる気を示していた。

1軍では4月2日広島戦(バンテリンドーム)の延長12回に全投手が登板した後、不測の事態に備え、ブルペンで肩をつくったことがあった。

根尾は大阪桐蔭で2年春から甲子園に4季連続出場し、17年春、18年春夏と3度優勝。投手でも活躍した。17年と18年のセンバツでは優勝投手になっている。

◆根尾昂(ねお・あきら) 2000年(平12)4月19日生まれ、岐阜県出身。小2で野球を始める。大阪桐蔭では2年春から甲子園に4季連続出場し、17年春、18年春夏優勝。18年ドラフト1位で中日入り。今年3月から内野手から外野手登録に。推定年俸1300万円。177センチ、82キロ。右投げ左打ち

◆野手登録の登板 最近の公式戦では20年8月6日、増田大輝内野手(巨人)が阪神戦で0-11と大量リードされた8回裏1死から登板。打者3人を二ゴ、四球、右飛に抑えて以来になる。00年6月3日には五十嵐章人内野手(オリックス)が近鉄戦で、13点差をつけられた8回無死三塁から登板し、打者4人に対し1安打無失点に抑えた。他に95年5月9日オリックス戦のデストラーデ(西武)、96年オールスター第2戦のイチロー(オリックス)などの例がある。大リーグでは15年イチロー外野手(マーリンズ)17年青木宣親外野手(アストロズ)が登板している。

◆根尾の登板 大阪桐蔭時代、甲子園では17年春、18年春夏に計7試合登板。センバツ史上初めて2年連続胴上げ投手になるなど通算5勝0敗、防御率1・93をマークした。プロ入り後、ウエスタン・リーグでは今月8日の阪神戦(甲子園)で初登板。9回に遊撃の守備からマウンドへ。打者5人に3安打を許し、2/3回で1失点だった。

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