楽天田中将大投手(33)が、13年5月28日以来、3283日ぶりに甲子園で登板した。公式戦無敗の24勝1セーブ、球団史上初のリーグ優勝に導いた、球史に残る年。その9年前のように、打者を圧倒し続けた。1回、先頭近本に中越え二塁打を放たれ、続く中野は犠打とされ、マルテには四球。1死一、三塁といきなりピンチを招いた。4番佐藤輝には、カウント1-1から150キロ直球で二塁併殺打。無失点で切り抜けると、グラブをポンとたたき、ほえた。

4回には先頭中野に左翼へ三塁打を放たれた。無死三塁のピンチ。眼光をより鋭くさせた。マルテを遊ゴロ、佐藤輝を中飛、大山を一邪飛。うなずきながら、右手を握った。5回には1死一、二塁のピンチ。バントの構えの西勇に転がさせず空振り三振。続く近本も空振り三振。打線の援護がない中、5回まで無失点と阪神打線を封じ、マウンドで、またほえた。

駒大苫小牧時代は高校野球ファンを沸かせた聖地。登板前には「タイガースファンの方々はたくさんいらっしゃるでしょうし、プロ野球、世界の中でも熱狂的なファンの方々が多いチームの1つではある。そういう雰囲気も感じながら、自分のパフォーマンスをしっかり出すことができれば」と意気込んでいた。スタンドを埋め尽くす阪神ファン。その視線をマウンドで受けながらの好投。ファンのため息を背中に、毎回ゆっくりとベンチへ引き揚げた。

ピンチにはギアを上げ、打者をねじ伏せる。威圧感ある投球で、試合を支配した。

6回2死二塁では、カウント2-2から大山に甘く入ったスライダーを中前に運ばれ、均衡を破られた。後続糸井を見逃し三振で封じたが、直後の攻撃で代打を送られ降板。6回4安打1失点で聖地で勝利を挙げることができず。今季3敗目を喫した。

打線が奮わず、チームは4連敗。痛い交流戦初戦となった。

◆阪神対田中将、甲子園対決VTR(阪神から見た対戦成績)

▼07年6月20日(5○0) 甲子園で初対決。金本が先制打を放つなど優位に試合を進め、田中将は5回3失点で降板。阪神は新人上園が6回無失点の好投でプロ初勝利を挙げた。

▼10年5月16日(3●7) 田中将が7回3失点、10奪三振の力投で5勝目をマーク。阪神は先発スタンリッジが4回5失点KO。ブラゼルの14号ソロなどで追い上げたが及ばなかった。

▼13年5月28日(4●7) 阪神は3回に鳥谷、マートンの連続適時打で先制。開幕から7連勝中の田中将は6回2失点で降板し勝敗はつかず無敗を継続、同年24勝無敗につなげた。試合は1点リードの9回に抑えの久保が3失点するなど4点を奪われ逆転負けした。(甲子園以外では楽天の本拠地での対戦が6度あり、阪神の2勝4敗)

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