紺色が映えるビジターユニホームに、白い粉が舞った。オリックス山崎福也投手(29)が、今季7度目の先発マウンドで、7回4安打1失点の力投。今季初勝利を手にした。

「今日、絶対に勝つという強い気持ちで。本当に…。素直に、ほっとしています。(8、9回を)仁海ちゃん(本田)、平野さんがいい投球をしてくれたので感謝しています」

山崎福は1球1球、丁寧に左手でロジンバックに触れる。軽く拳を握り、ふっと息を吹きかけるルーティンで、109球を投げきった。マウンドで唯一の“相棒”であるロジンは「僕の1つのリズム」と爽やかに言う。中学3年時に脳腫瘍を乗り越えた山崎福は今季から1イニングにつき1万円を脳腫瘍の患者や家族に寄付する。「1イニング、1アウトでも多く…」。1球ずつ丁寧にロジンをつける意味は、ここにある。

交流戦で打席に立つことも楽しみだった。日大三高3年時、センバツで甲子園1大会における通算安打の最多タイ記録を樹立した。この日は巨人菅野の前に2つの内野ゴロに倒れ「ちょっと速すぎてビックリしました。初めて見る球で、打てる気がしなかったです」と苦笑い。それでも“本職”の投球で菅野に投げ勝った。

9回は守護神の平野佳が締め、NPB通算200セーブに王手。連敗を止め、これで借金3。中嶋監督は「サチもよく頑張って1勝目。乗っていってくれたら」と褒めた。山崎福には、黙々と頑張れる理由がある。【真柴健】

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