<全日本大学野球選手権:大商大2-1富士大>◇6日◇1回戦◇東京ドーム

富士大(北東北)の今秋ドラフト候補右腕・金村尚真投手(4年=岡山学芸館)が、10回122球を投げ抜いた。

延長タイブレークの末に敗れたが、雨天のため神宮で予定されていた3試合が順延となり、NPB全12球団のスカウトが集結した中で評価を上げた。

東日本国際大(南東北)は、小林龍憲内野手(4年=作新学院)の先頭打者弾など1発攻勢で初戦を突破。日本文理大(九州地区北部)、近大(関西学生)も2回戦に駒を進めた。

   ◇   ◇   ◇

最速150キロ右腕・金村の熱投は実らなかった。この日は最速147キロ。スカウトのスピードガンでは149キロも計測した直球を軸に、安定した制球力を発揮。10回2失点(自責1)完投も、味方の援護はソロ本塁打のみと1点に泣いた。「全体的にゾーンに投げられて、三振を取れたのは良かった」と一定の手応えはあったが、「1戦で終わるために全国に来たわけではない。自分の力のなさの一点ですね」と唇をかんだ。

悔やまれる1球だった。1点リードの7回。内野安打2本と犠打で1死二、三塁のピンチを招いた。相手6番に甘く入った初球の130キロ変化球を中前に運ばれ同点に。無死一、二塁から始まる10回のタイブレークは「絶対に1点もあげたくない」とマウンドに上がった。「ピンチで抑えられないのが自分の弱さであり、それで負けたと思う」。1死二、三塁からの適時打で決勝点を奪われた。

プロを意識し始めたのは岡山学芸館3年のとき。最後の夏は県大会決勝で2年生エースだった創志学園・西純矢投手(現阪神)に投げ負け、甲子園を逃した。「自分をもっともっと向上させる、いい材料になった」。悔しさを糧に富士大では1年春からベンチ入り。昨春リーグ戦で完全試合を達成し、プロ注目投手に成長した。昨年の全日本大学選手権を境に「順位に関係なく」から「1位で行きたい」とプロへの思いも強くなった。次の全国舞台は11月の明治神宮大会。ドラ1右腕となって帰ってくる。【山田愛斗】

 

▽ヤクルト小川GM きっちり両コーナーに投げ分けていて、制球力がある。スタミナもあって球も強い。

▽広島苑田スカウト統括部長 球にキレがある。先発として、しっかり試合をつくることができる投手。

▽DeNA進藤編成部長 カットボールの精度が高い。先発としてはもちろん、中継ぎで1イニングを投げたらどんな球なんだろうと思わせてくれる投手。

▽ソフトバンク永井スカウト部長 先発の素質がある。どの球種でもカウントが取れて、ストライク率も高い。相手打者は(狙い球を)絞りづらいと思う。

▽オリックス内匠スカウト 球の強さ、速さがある。気持ちの入った投球だった。試合は負けたがいいところが見られた。プラスの評価になる。