お初にお目にかかります-。楽天川島慶三内野手(38)が2回、先制となる1号3ランを放った。加入後、本拠地の初打席で初本塁打。ソフトバンク時代は勝負強さから「仕事人」と呼ばれたプロ17年目が貴重な先制点をもたらし、打線を活気づけた。年下の選手たちも奮起し、11安打8得点で快勝。ソフトバンクが敗れ、5月30日以来12日ぶりに首位へ浮上した。

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名前がコールされ、登場曲が流れる。川島は2回2死二、三塁で犬鷲戦士として初めて楽天生命パークの打席に立った。球場は今季2度目の満員御礼。ファンに背中を押されながら、初球、メルセデスの真ん中に入った144キロ直球を仕留めた。打球はファンが多く待つレフトスタンドへ。「ホーム初打席で特別な思いがあった。イーグルスファンの声援のおかげで打てた」。両手を何度もたたき、喜びを爆発させた。

5回無死走者なしの場面では守備でもみせた。増田陸の中前に抜けそうな打球をダイビングキャッチ。球場をもり立てた。チーム最年長が攻守で躍動。「泥んこで野球ができる喜びをすごく感じながらやっています」と汗を拭った。

開幕1軍も新型コロナ療養を経験。今季の出場は5試合にとどまっているが、出番の数時間前からよろいを着て勝負に備えている。ほとんどの選手が練習着姿で試合前練習に臨む中、1人ユニホームを着て臨む。「同じ感覚で試合に立ちたい。これが正装なので」。チャンスは一瞬。練習から闘争心をかき立て続ける。研ぎ澄ませた集中力で、勝負どころで最高の一太刀。巨人を討った。

お立ち台ではファンへ「優勝しましょうね」と呼びかけ。勝ち続ければ客足も伸びる。あふれんばかりのスタンドへ全力プレーで魅了する。それがプロ野球選手としての仕事だ。【湯本勝大】

▽楽天石井GM兼監督(川島の活躍に)「今日は頼んだぞということでセカンドで起用したのでそこに応えてくれると僕もうれしい。選手が笑っている時の顔を見たいから頑張れるというのもあるので、そこは良かったと思います」

○…早川が6回1失点で4勝目を挙げた。直球の細かい制球に苦しむも、力で押す投球。失点した4回以外は2安打で封じ、試合を引き締めた。お立ち台には川島の応援タオルを持って登場。「慶三さんのタオルが残り300枚くらいしかないということで、ぜひ買ってください」とファンへおねだり。まさかの“営業”で球場を盛り上げた。

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