<日本生命セ・パ交流戦:オリックス2-3阪神>◇11日◇京セラドーム大阪

阪神がついに開幕からの最下位を脱出した! 「日本生命セ・パ交流戦」のオリックス戦。佐藤輝明内野手(23)が0-2の8回にエース山本に適時三塁打を見舞った。4試合、19打席ぶりの安打に続き、捕逸の間に同点のホームイン。延長11回は先頭で左前打を放ち、後を託した代走・熊谷敬宥内野手(26)の神走塁で勝ち越しと、全3得点に絡んだ。試合前にヤクルトの交流戦優勝が決定。ただ、リーグ戦は中日と入れ替わり、5位に浮上した。

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決勝のホームを踏んだ熊谷は、試合後の囲み取材で「あんまり僕が目立つようなことがないと思うんですけど…」と率直な思いを口にした。言葉通り、阪神では主に代走、守備固めで「日陰」に隠れがち。ただ、立大時代は主将で全国制覇に導いた男だ。グラウンドではそのキャプテンシーが顔を出す瞬間がたびたびある。

2月の沖縄・宜野座キャンプでのこと。ムードメーカーの北條が2軍スタート、糸原も新型コロナウイルス陽性判定を受けて自主隔離中だったため、盛り上げ役がいなかった。そこで、一番“目立っていた”のが熊谷だった。

「2人がいないから元気がないと思われたくない。若い僕らが、声出していかないといけないでしょ」

キャンプ初日には矢野監督からチーム全体に「元気がない」と指摘されていただけに、思うところがあったのだろう。「さあいこう!」「もういっちょ!」。誰よりも通る声がグラウンドに響いていたことをよく覚えている。

シーズン中、試合前練習で誰よりも忙しく動いているのも熊谷だ。本職の二塁、そこから三塁、遊撃でノックを受けたかと思えば右翼、左翼へいつのまにか移動し、フリー打撃の打球を捕球している。そんな光景は決してレアじゃない。そこから打撃練習、走塁練習。声をからし、試合前に目まぐるしく準備する日々が、ここぞの活躍につながっている。【阪神担当=中野椋】

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