2位巨人が首位ヤクルト相手に2度のリードを守れず、逆転負けで自力Vが消滅した。

    ◇    ◇    ◇

6月26日。セミの鳴き声もまだ聞こえない季節に、巨人の自力優勝が球団史上最速で消滅した。首位を快走するヤクルトと一進一退の攻防を繰り広げたが、最後は1点差でねじ伏せられた。厳しい現実にも原辰徳監督(63)は「我々はそういうことはね。やっぱり、ベストを尽くすだけだからね」と冷静に受け止めた。

意地を見せるべく手を打った。先発には中4日で勝ち頭の戸郷を指名。先発で3勝の赤星をブルペン待機させ、総力戦にも備えた。

ヤクルト打線は、その上を超えてきた。戸郷は大量援護を守れず3回途中でKO。赤星も1点リードの7回1死一、二塁で登板したが、1死満塁からの二ゴロ間に同点に追い付かれた。原監督は「3回の6点は大きかったね。もうちょっと粘ってほしかったね。戸郷にはね。中4日とはいえね」と振り返った。

前日19得点の打線は初回から3得点を挙げるなど10得点と上昇気配も、失点がかさみすぎた。今季は成長過程にある若手を積極的に起用している面はあるもののチーム防御率は3・87で、救援陣に限ると4・11。この日も同点の8回に登板した平内が自らの野選でピンチを広げ、村上の決勝3ランを招いた。原監督は「平内は、勉強よ。(投手陣は)防げる点はあると思いますよ」とうなずいた。

残りは67試合。11ゲーム上空を優雅に飛ぶ燕との直接対決は、来月の6試合を含め13試合も残す。奇跡につながる時間は、まだ少し残っている。【浜本卓也】

○…元木ヘッド兼オフェンスチーフコーチは自力V消滅にも「俺らはこれから。まだヤクルト戦も結構ある」と前を向いた。ヤクルト3連戦を「細かなミスはあったが、打線はよく頑張った」と評価。現役時代の96年に首位広島との最大11.5ゲーム差をひっくり返した「メークドラマ」の経験を重ね「勝つしかないのよ。勝つしかない。(当時も)そうだよね。勝つしかない」と3度「勝つ」を繰り返した。

▽巨人阿部作戦兼ディフェンスチーフコーチ(今後の巻き返しに向けて)「負けは許されないゲームがずっと続いていくと思いますし、どうやってバッテリーで粘って勝ちを拾っていけるかというのを、ちょっと目標にやっていきたい」

▽巨人中島(同点の7回2死一、二塁、代打で一時勝ち越しの中前適時打)「このチャンスの場面で代打で送り出してくれたので、なんとしても打ってやると思って打席に入りました。期待に応えられて良かったし、二塁から勇人(坂本)がよく走ってくれました」

【関連記事】巨人ニュース一覧