元西武でパドレス傘下3Aエルパソを自由契約になった秋山翔吾外野手(34)が6月30日、マツダスタジアムで広島入団会見を行った。

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メジャーで思い描いていたような結果を残せなくても、秋山は常に自らの立ち位置を冷静に見極めていた。レッズを退団し、パドレス傘下の3Aエルパソで常時出場するようになると、徐々に本来の感覚を取り戻し始めていた。「やっぱり楽しい。こういう環境にかなり飢えていたんだなと思いました」。NPB最多の年間216安打の記録を持つバットマンが、グラウンドに立てる喜びを、あらためて実感していた。

レ軍移籍1年目の20年はコロナ禍で春季キャンプが中断したが、シーズンは「1番」として定着。外野手部門でゴールドグラブ賞のファイナリストに選出されるなど、定位置を確保したかと思われた。ところが、翌21年のキャンプ終盤に故障。その後は、出場機会に恵まれず退団した。

ただ、周囲からすれば苦節と思われるような経験も、本人にとっては、おそらくプラスはあってもマイナスではなかった。「今、残しているもの、感じているものは、今後、絶対に生きてくる」。米国を去る直前、秋山は覚悟したように言った。望むべき場所は、ファンの声がこだまするスタジアム。幾多の経験を糧にし、卓越した打撃技術を持つ男の再出発は、必見に値するに違いない。【MLB担当=四竈衛】