輝が“荒振る”。阪神佐藤輝明内野手(23)が残り60試合の本塁打増に意欲を見せた。ヤクルトが大量14人の新型コロナ陽性判定を受け、神宮での試合は中止。今季二塁打や三塁打を量産するスタイルに満足せず、こだわるのは柵越えと明かした。昨季の大失速を教訓に、確実性重視のスイングに変えたが、同じ83試合時点の本塁打は6本も減少。藤井康雄巡回打撃コーチ(60)の指導も受け、確実性+フルスイングの最強打撃で1発量産に転じる。

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佐藤輝は納得していなかった。昨季0だった三塁打は4本。25本でリーグトップの二塁打は、シーズン換算43二塁打ペースで、球団記録の10年新井貴の42本を超える計算になる。だが、きっぱり言った。「その分、本塁打が少ない。本塁打が増えるように目指してやっていきたい」。前日8日ヤクルト戦での先制三塁打は右翼フェンス直撃止まり。二塁打と三塁打の量産は、本塁打にできなかった裏返しと自己分析した。

昨季大スランプに陥った教訓を胸に、今季は飛距離より確実性を求めてきた。今季は83試合で打率2割7分2厘。14本塁打。昨季の同試合で比較すると、打率は2割6分7厘から5厘上げたが、20発でキング争いしていた本塁打は6本も少ない。「(試合で)惜しい当たりが出ているんで、それが本塁打になるように頑張ります」。特に目立つ柵越えまであと1歩の打球を減らしたい。ヤクルトのコロナ禍で試合が中止となったこの日の打撃練習で、藤井康コーチから対策を授かった。「飛距離が練習の中で出るといい。やっぱり練習の中でいい形になって初めてゲームの中でもという感覚で」。フリー打撃からコンパクトに打つのではなく、もっと強く飛ばすよう求められた。体に覚えさせる意識付けの意味合いも強い。

昨季は横浜スタジアムでの場外弾などで沸かせたが、今季はフリー打撃でも柵越えがほとんどなかった。だが、藤井康コーチの指導を受けたこの日は効果てきめん、神宮の無人スタンドに向け、白球を角度よく豪快に飛ばした。同コーチは「まだまだ今年よくなる。速い球の打ち損じをとらえるようになると間違いなく早い段階で30本塁打いくと思う」と、ここからの本塁打増は十分可能とハッパをかけた。

「どんなボールにも対応よく、なおかつ打球が飛ぶように」と二兎(にと)を追う。中堅方向を意識し、体を開かせないようにともアドバイスを受けた佐藤輝も手応えを明かした。「いろいろ感覚とか、自分がどう思っているとか、しっかり話しながらやっています」。目指す究極は確実性の伴ったフルスイング。ますます怖い虎の4番に進化する。【石橋隆雄】

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