阪神近本光司外野手(27)が神走塁を披露した。0-1の9回。先頭で中前打を放つと、次打者の初球に二盗を決め、内野ゴロで三塁に進んだ。

ベンチからの指示は投球がバットに当たった瞬間に走るギャンブルスタート。糸原が、前進守備を敷いていた遊撃前に転がした。三塁走者の近本は迷わずGOだ。「そのときの僕の仕事をやっただけです」。遊撃土田の握り替えがわずかに遅れたがタイミングは完全にアウト。誰もがそう思った瞬間、近本の左足がベースに滑り込んだ。中日ベンチがリクエスト。再度「セーフ」の判定が出ると、甲子園に大拍手が沸いた。1-1と追いついた。

サイン通りに動いただけと本人は言うが、スタートのタイミング、加速、そしてスライディング。近本の走塁能力あってのセーフ判定だった。バットでも今季10度目の猛打賞をマーク。同点劇に続いた9回の二盗も大きかった。「行けると思ったから行っただけ。別に無理していくようなところでもない」と冷静に振り返った。

敗れて、笑顔はない。延長11回、最後の打席は粘りながら二ゴロに倒れた。「最後も打てなかった。チームが負けたのが一番大きいです」。活躍に浸ろうとはしなかった。【柏原誠】

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