4番復活や! 阪神佐藤輝明内野手(23)が初回の逆転タイムリーを含む3安打で勝利に貢献した。7月は月間打率1割台に本塁打ゼロと本調子を欠き、この日は試合前に早出特打を敢行。さっそく成果が表れ、復調の兆しを見せた。中日にカード勝ち越しで、巨人を抜き、4位に浮上。18日からマツダスタジアムで、2位広島との3連戦に臨む。

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愛のムチで、佐藤輝のバットが目覚めた。1回表に自らの失策も絡み、先制を許した。その裏だ。無死満塁で打席に立つと、中日先発柳の内角低めカーブを崩されずにとらえ右前へ。「ここ最近、打てていなかった。満塁で何としても打とうと」。16打席ぶりの安打は決勝の逆転2点適時打となった。3回に右前打、5回には右翼線二塁打を放ち、6月24日の中日戦以来、今季6度目の猛打賞をマークした。

この日は午後2時の全体練習前に行う早出特打に珍しく佐藤輝が姿を見せた。炎天下の中、ノースリーブシャツを着て黙々と打ち込んだ。この試合前まで7月は打率1割7分5厘(40打数7安打)、0本塁打、2打点と低迷。実は井上ヘッドコーチから、ゲキを受けていた。「行動を起こせ。神頼みしても打てないよ。できない部分は自分で見つけないとダメだよ」。打てない原因を練習から見つけるよう、早出参加を促されていた。

さっそく、成果となって表れた。佐藤輝は「いろいろ練習する中でつかんだものがあった。練習からいい打球が飛んでいた」と復調へのヒントをつかんだ。矢野監督は「あまり後ろの肩が出ずにというか、突っ込まずに練習でも打っていた」と、変化を感じていた。上からたたこうとするあまり左肩が突っ込んでいたのがなくなり、打球があがるようになった。

近大時代から陰で努力するタイプで、普段はスマートな練習スタイルを好む。だが、井上ヘッドの「愛のムチ」は悩める4番の心に届いたようだ。井上ヘッドは「本当にスーパースターになる素質があっても普通の選手で終わってしまうよとコンコンと言った。練習はうそをつかないって信じてやれるか。輝明が気付くか気付かないか」と会話の内容を明かした。

ウル虎の夏は4勝2敗で6年ぶり2度目の勝ち越し。佐藤輝はお立ち台で「一体感があった。最高です。いい流れで来ているので明日からも全部勝つつもりで頑張ります」と意気込んだ。借金は「3」となり、巨人を抜いて4位に浮上。18日の広島戦に勝てば、2位で並ぶ可能性がある。2位以下が大混戦のセ・リーグで抜け出すためにも、佐藤輝の復調は欠かせない。【石橋隆雄】

○…岩崎が今季初の3連投で1回無失点で抑えた。2点リードの9回に登板。中日先頭の岡林に中前打を打たれたが、木下を変化球で投併殺で片づけると、最後はビシエドを二ゴロに仕留めた。19セーブ目を挙げた左腕に矢野監督も「淡々と、っていうふうにみえるかもしれないですけど、気持ちのなかで向かっていくのが優のいいところ。どんな状況でも冷静に、熱く投げてくれています」とたたえた。

○…陽川は31歳の誕生日に守りで勝利に貢献した。7回の守備から出場して一塁に就き、8回無死一、二塁では石垣のバントに猛ダッシュ。素早くつかみ三塁へ送球し進塁を防いだ。9回無死一塁では投ゴロでの二塁からのワンバウンド送球を好捕し、併殺を完成させた。前日16日の中日戦では左翼でクッションボールを誤る適時失策をしていたが、すぐにミスを取り返した。

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