超遅~いボールで松山を盛り上げた。全パの日本ハム伊藤大海投手が8回に登板。

全セ先頭の広島坂倉への初球、山なりの球はあまりに遅くて計測不能だった。タイミングを合わされながらも右飛に打ち取ると、観衆はどよめいた。初出場が決まると「オールスター最遅を狙おうかなと思います」と話していたが、宣言通りに自身の球宴第1球を決めた。

次打者の阪神佐藤輝は一転、全球直球勝負。この日最速150キロで見逃し三振に仕留めた。そして、3人目の中日ビシエドには再び遅球攻撃。初球は山なり過ぎて、中継のテレビ画面から消えたほど。「画面から1回、消えるくらいがいいんじゃないですか」と、これも話していたとおりの球だった。超スローボールを3球続け、最後は左飛に打ち取った。

シーズンでも80キロ台のスローカーブは投げたことがあるが、球速が表示されない超スローボールを解禁したのは、この日が初めてだった。実は、練習はしていた。「まだストライクが取れないので」と封印してきたが、ついに解禁。セの強打者を3者凡退に仕留め、してやったりの顔でお祭りを楽しんだ。【古川真弥】

○…全セの中日の主砲ビシエドが日本ハム伊藤のスローボールに翻弄(ほんろう)された。1点を追う8回2死走者なしで対戦。2球連続のスローボールでカウント1-1から遅球を強振して左飛に。「なかなかポイントに来なかった。本塁打を打ちたかったけど、全然来なくてびっくりしたよ」。18年に首位打者、最多安打に輝いた7年目の打撃巧者も苦笑いだった。

▽全セ広島坂倉(日本ハム伊藤のスローボールに右飛)「(阪神佐藤)輝明と“来るな”という話をしていて、首を振ったので来るなと準備はしていたんですけど、ヒットにならなかったのが悔しいです」