久しぶりの景色を、思う存分満喫した。阪神才木浩人投手(23)が、6回4安打2失点の力投で今季2勝目を手にした。中13日空け、4年ぶりのヤクルト戦での先発マウンド。強力打線相手にも強気で攻めた。20年の右肘トミー・ジョン手術から今季復活した右腕。甲子園では19年5月1日広島戦以来、1186日ぶりの勝ち星だ。復活星を挙げた3日の敵地中日戦ではヒーローインタビューで涙を流したが、久々の本拠地お立ち台では「最高です!」と笑みが弾けた。

「360度ほとんど阪神ファンで埋め尽くされて投げやすくて、すごくいい。やっぱり阪神ファンは最高だなと思いました!」

立ち上がりから角度のついた最速150キロの切れ味抜群の直球で押し込んだ。2回までパーフェクトに封じ、6つのアウトのうち5つがフライアウト。3回以降は変化球を交えながら再三のピンチを切り抜けた。6回2死二塁から「あの展開で一番やっちゃいけない」と、村上に許した中越えの2ランを反省。しかし、先発としてゲームメークし、役割を全うした。

同期の援護射撃に奮い立った。両軍無得点の4回2死一、二塁。糸原が均衡を破る先制打を放った。「同期のイトさんがすごい良いバッティングをしてくれたので、しっかり投げないとなと思って」。入団から苦楽をともにしてきた糸原と並んでお立ち台に立ち、勝利の喜びを分かち合った。

矢野監督は「今日も初回から全力で行くっていう気持ちもすごく感じましたし、ボールもすごく走ったいいボールがいっていた」と評価。その上で「まだまだもっともっと上にいってもらわないといけない能力のあるピッチャーなので」と話した。大事をとって1度登録抹消される見込みだが、指揮官は今後のさらなる進化に期待した。

もちろん才木も先を見据える。「ここから勝ち上がって、逆転優勝して日本一になれるように頑張っていきたい」。甲子園に頼もしい右腕が帰ってきた。【古財稜明】

○…湯浅が球宴明け初の登板で3者連続三振の好投を見せた。8回に登板し、ヤクルト代打の西田をフォークで空振り三振。続く山田は153キロ直球で空振り三振、最後は4番村上を143キロのフォークで空振り三振とし、中軸を完璧に抑えた。「本当に自分の中で感覚よく投げられています。ゼロで抑えられてよかった」。守護神岩崎も9回に登板し、1安打無失点と球宴組が躍動した。

○…新型コロナに感染していたケラーが実戦復帰した。ウエスタン・リーグ広島戦(丸亀)に先発。2死から四球と連打を許したが、1回を無失点に封じた。最速は150キロを計測。甲子園でシート打撃に登板した28日には「早く(チームを)助けられるように、貢献できるように早く戻りたい」と話していた。29日の同戦でノーヒットノーランリレーを食らった打線は、14安打11得点と爆発し、大勝でリベンジした。

▽阪神中野(4回に左前適時打)「才木が粘って(四球で)つないでくれましたし、自分も負けていられないという気持ちで打席に立ちました。追加点が取れて良かったです」

▽阪神島田(4回に適時打を含む1イニング2安打)「才木とは同じ時期にケガをして、一緒にリハビリを頑張ったこともある仲ですし、普段からかわいい後輩なので、援護できてとてもうれしいです」

【関連記事】阪神ニュース一覧