ヤクルト村上宗隆内野手(22)が、自身初となる3打席連続本塁打でチームを勝利に導いた。

延長11回、村上の打球が上がった瞬間、阪神ファンの悲鳴が響いた。石井のナックルカーブを捉えた打球は浜風に乗って左翼席へ。悠然とダイヤモンドを周回し、ナインと歓喜のハイタッチ。3連発でチームを勝利に導くと、慣れっこのはずのお立ち台で「なんかあんまり実感が湧かないです。今日の試合を勝てたことが、すごく良かったです」と素直な感想をもらした。

左投手も、浜風も“村神様”には関係なかった。まずは7回無死、左腕の渡辺の外角高めスライダーに反応。「強引にいかずコンパクトに打つことができました」と、逆らわず左翼席へ反撃ののろし上げた。

さらに9回1死では、同じく左腕の岩崎の初球、内角高め141キロ直球を強振。「勝負してくる、インコースにくるなと思っていた。浜風なのでしっかり打たないと入らない。いいスイングができたかなと思います」。打球は右翼から左翼方向に強く吹く、甲子園特有の浜風を切り裂き、右翼席最前列に着弾した。今季の対右投手は打率2割9分6厘、26本塁打。一方で対左は3割5分9厘、11本塁打。ここまで左腕をまったく苦にしていない。

好調だったチームは7月2日に2リーグ制後では史上最速となる優勝マジック53を点灯させたが、同8日以降に新型コロナウイルス感染者が続出し、一気に苦境に陥った。19勝4敗と絶好調だった6月から、7月はこの日まで6勝13敗と大きく成績を落とし、高津監督も「ここが踏ん張りどころ」と危機感を強めた正念場だった。チームでただ1人、開幕から全試合先発出場を続け、4番を張る22歳が「それくらい責任を背負ってますし、そういう打順というのは自覚しているので」とプライドをにじませた。

選手も徐々に復帰し戦力も整いつつあるが、苦しい状況には変わりない。「コロナにかかった選手も万全で戻ってないと思うんですけど、みんな必死に戦っているので。そういうチームで勝てたことはすごく良かったなと」。聖地でさらに覚醒した「村神様」が、ますます力強くチームをけん引していく。【鈴木正章】

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