3年目の日本ハム片岡奨人外野手(24)が待望のプロ初安打をマークして、京セラドーム大阪での今季初勝利に貢献した。

オリックス19回戦の2回、通算14打席目で先制点へつながる右前打が飛び出した。6回は貴重な追加点を呼び込む中前打で、初の複数安打となる2安打2得点と躍動。北海道・八雲町出身の道産子が、昨季から続いていた同球場での連敗を9で止める勢いを呼び込んだ。

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きれいに、はじき返した。片岡が、正真正銘のプロ初安打をマークした。2回無死一塁。通算14打席目でオリックス中村のフォークを捉えると、痛烈な打球が一、二塁間を抜けた。一塁ベースを回ったところで控えめながら強く右拳を握った。「1本出てくれたので、うれしかった」。記念球の“回収係”を務める新庄監督も拍手を送りながら無事に記念球を確保すると、片岡も笑みがこぼれた。

2日前は、ぬか喜びも出来ないままプロ初安打が幻となった。5日同戦の9回。「死にもの狂いだった」と、ヘッドスライディングで内野安打…としたはずが、リクエストで判定がアウトに覆った。「しょうがないか」と割り切ったが、その試合後に新庄監督から「次、きれいなヒットで(プロ野球人生の)いいスタートを切ってもらえたら」とエールを送られた。言葉通りの快打で“打ち直し”に成功した片岡は「今回はヒットになって良かった」と、感慨に浸った。

現在はBIGBOSSから与えられた2度目のチャンスだ。今季は5月5日にプロ初昇格も、同10日オリックス戦(札幌ドーム)で見逃し三振に倒れた試合後に新庄監督は「1軍に残りたいという姿勢が全く見えない。バットを出さない限り、一生結果は出ない」とコメント。その翌日に片岡は抹消となった。

悔しさを抱えて2軍へ戻ると、大渕GM補佐兼スカウト部長からは「諦めるな。どうなるかも、ここからだよ」とハッパを掛けられた。渡辺2軍打撃コーチには技術面、矢野2軍打撃コーチには精神面で指導を受けた。再昇格後は金子野手総合兼打撃コーチのアドバイスにも手応えを感じていた中で「言われたことを、きっちり整理整頓して出来た。本当に感謝しています」。心技体を整え、巡ってきた2度目のチャンスで、ようやく結果が出た。

初安打は先制点につながり、6回の2安打目は貴重な追加点を呼び込んだ。2安打2得点と躍動して、勝利に大きく貢献した。今後は「これをモノにできたら」と、打撃への自信を深めるとともに目指すは外野のレギュラー。「1球1球を大事にしていきたい」。昨季までは昇格チャンスも得られなかった片岡のプロ野球人生が、本格的にスタートした。【木下大輔】