阪神が今季9度目のサヨナラ負けを喫した。9回、4番手の加治屋蓮投手(30)が代打大田にサヨナラ打を浴びた。この日、不動の1番打者・中野拓夢内野手(26)が新型コロナウイルスの陽性判定で出場選手登録を抹消された。それでも陽川尚将内野手(31)、木浪聖也内野手(28)ら代役陣が奮起のタイムリーを放ったが、最後は力尽きた。2リーグ分立後、阪神の最多サヨナラ負けは10度。ワースト記録まであと1つとなってしまった。

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7回浜地、8回湯浅と同点でバトンをつないだが、9回の加治屋がつかまった。先頭に四球を与え、2死一、二塁から代打大田の初球に暴投し、三塁進塁。2球目カットボールを左前へはじき返され、今季9度目のサヨナラ負けを喫した。矢野監督は「抑えようと思って投げてくれたと思う。結果は、はい。受け止めています」と悔しそうに振り返った。

25セーブの守護神岩崎はベンチから外していた。「ずっと投げてもらっているし、もう1日くらい休んだ方がいい」と、今後を見据え、6日広島戦で3点リードを守れず4失点した登板から3日間休養させた。ベンチには岩崎不在時のストッパー的存在のケラーも岩貞もいたが、延長に持ち込む前に加治屋が力尽きた。

今月に入り渡辺、石井と中継ぎ陣に新型コロナウイルス陽性者が出ている。島本、及川、小林と2軍から新戦力を加えるが、猛暑と疲れでブルペンは疲弊している。

打線も2回に2点を先制したが、3回以降は今永の前に無得点。1安打しか打てなかった。近本を5月31日西武戦以来50試合ぶりに1番に起用し、3番には新外国人ロドリゲスを初めて抜てきしたが1番から4番までが全員無安打。矢野監督は「本塁打とか出ないと、なかなか連打連打という崩し方ができるタイプでは。悠輔(大山)とかがやっぱり相性がいいし…」と、嘆いた。新型コロナウイルス陽性で離脱している大山は今季今永から3打数2安打2本塁打を放っている。その穴は言うまでもなく大きい。

さらに不動の正遊撃手中野も陽性となり離脱。糸井も感染疑いで特例抹消されるなど、コロナ禍の終わりは見えない。「今は全員で補って、全員でやるしかない」と、残されたメンバーで必死に戦うしかない。

2リーグ分立後、球団ワーストの年間10度のサヨナラ負けにあと1つと迫った。首位ヤクルトは敗れ8・5差は変わらない。だが、振り向けば3位DeNAとは0・5差に迫られ、負ければ順位が入れ替わる。奇跡のドラマを起こすためにも連敗するわけにはいかない。【石橋隆雄】

▼阪神のサヨナラ負けは今季9度目で、これは2位のヤクルト、DeNA各5度を引き離し12球団最多。2リーグ分立後のサヨナラ負け球団ワーストは10度で、54、94年に記録。今季は更新のおそれが出てきた。なお2リーグ分立後のサヨナラ負けシーズン試合数プロ野球最多は14度で、88年広島、93年中日、09年西武がそれぞれ記録している。