軟式野球は開催地枠で出場の札幌札苗北が、金沢清泉(石川)に2-3でサヨナラ負けを喫した。18日の開幕試合の始球式前に日本ハム近藤とキャッチボールした主将の若松七聖捕手(3年)が、5回に好捕を見せるなど守備で奮闘。7回無死一塁から投手として登板も、最後は味方の失策で惜敗した。

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涙が止まらなかった。同点の7回2死三塁、味方の遊撃手がゴロを後逸し、サヨナラ負け。札幌札苗北の若松は外野に転がるボールを見詰め「監督を日本一にしたかった」と号泣。大崎聡監督(43)は「1年生で入ってきたとき『私を全国大会に連れて行く』と約束してくれた。その通り、ここまで連れてきてくれたみんなに、感謝です」と目頭を押さえた。

チームリーダーの若松が好守でチームをけん引した。捕手として4回2死一塁の場面で相手二盗を阻止すると、5回2死一塁、後方に上がった小フライに飛びつきアウトに。「近藤選手の言葉が力になった」。18日の開会式で選手宣誓後、始球式を務める日本ハム近藤のキャッチボール相手を務め「試合、頑張ってね」と励まされた。サイン入りユニホームを贈られ帽子のつば裏にサインをもらった。「将来は近藤選手のようなプロ選手になりたい。最高の宝物をいただきました」と感謝した。

小学生までは投手だったが、チーム事情や将来を見据え、中1から捕手にも挑戦。昨秋まで投手兼務も、今大会は地区予選からずっと捕手として出場し、最後の夏の最終回、今年初めて投手として登板した。大崎監督は「最後は若松、と決めていた」。勝利にはあと1歩届かなかったが、若松は「みんながつないで僕をマウンドに上げてくれた。仲間のおかげ」とまた、涙があふれ出た。

「この悔しさは高校で甲子園に行って晴らしたい。これからは捕手1本でいく」。大きな夢を描き、新たな道に進む。【永野高輔】