そりゃないよ…。阪神打線が奮闘するルーキー森木大智を見殺しにした。チーム7安打も得点はわずか1点。9回、原口の中犠飛で球団ワーストに並ぶ24度目のゼロ封負けは免れたが、19歳右腕が登板した6イニングは1点も援護することができなかった。矢野監督も「残念というか、なんかね。森木に引っ張られているようじゃ、やっぱりさみしいよね」とガックリ。悔しくてたまらない。

先制機が3者連続Kで消し飛んだ。2回の満塁も得点につながらず迎えた4回だ。先頭佐藤輝が中前打で出塁すると、続く大山の強烈な打球が中日柳の右膝付近を直撃してコロコロ。無死一、二塁の好機をつくり、さあ、いくぞ。治療を終えてマウンドに戻ってきた右腕をたたみかけるはずだった。ところが、ロハス、木浪、坂本が三振、三振、三振…。まるで金縛りのようにゼロが並んだ。

「やっぱり『お、森木が投げてんのか』っていうところ。気持ちはもちろんあると思うんだけど、やっぱり行動と結果で示すっていうのがプロ」と指揮官は渋い表情。19歳がすがすがしい投球を披露しただけにもどかしさが募る。これで最下位中日には2カード連続負け越し。後方から巨人、広島、中日が迫る。夏の長期ロードは10勝14敗で3年連続の負け越し。30日からは甲子園に戻るが、気を抜けばBクラスに転落してしまう。【桝井聡】

▼阪神でドラフト入団した高卒新人では、13年藤浪晋太郎以来の初登板初先発。プロ初登板が先発だったのは4人いたが、中日戦での初登板初先発は初めて。

▼今季の高卒新人投手では1軍デビュー一番乗り。野手ではロッテ松川が開幕スタメンでデビューしている。

▼阪神は今季の長期ロードを10勝14敗の借金4で終えた。長期ロードは3年連続の負け越しで、矢野政権になった19年以降は1度も勝ち越しなし。

○…佐藤輝が得意の右腕からマルチ安打を放ち、キラーぶりを発揮した。中日の先発柳から、4回先頭で3試合連続ヒットとなる中前打を放つと、6回先頭でも右前打をマークし、5試合ぶりに複数安打を記録した。これで今季柳との対戦は19打数7安打、打率3割6分8厘となった。

○…原口が意地の犠飛を放ち、ゼロ封負けを阻止した。4点を追う9回。ロハス、木浪の連打と糸原の死球で無死満塁の絶好のチャンスに代打で登場。左翼ポール左へ切れる特大ファウルを放った直後の5球目、R・マルティネスの153キロ直球をセンター後方まで運び、チーム唯一の得点をもたらした。

○…馬場がピンチを切り抜け、1回を無失点に抑えた。4点ビハインドの8回に3番手で登板。岡林、大島を打ち取り2死としたが、阿部に右中間への二塁打を許し、ビシエドを申告敬遠、溝脇には四球を許し、満塁のピンチを招いた。しかし大野奨を外角低めのカットボールで二飛に仕留め、難を逃れた。

○…ロドリゲスが初めて2軍に降格した。7月に来日し、同22日DeNA戦では代打で適時二塁打を放ち、鮮烈な虎デビューを果たした。しかし8月7日の広島戦で2号2ランを記録した後は、30打席連続無安打と不振に陥った。16日ヤクルト戦を最後に先発出場はなく、この日、出場選手登録を抹消された。

○…新潟医療福祉大出身の桐敷が、大学時代を過ごした地で凱旋(がいせん)星を挙げた。巨人とのファーム交流戦(三条パール金属)に先発。初回に味方守備のミスもあり2点を失ったものの、2回以降は巨人打線を寄せ付けず、6回5安打2失点(自責0)でファーム4勝目を手にした。7月末に新型コロナに感染し、8月21日の2軍中日戦で実戦復帰した。1軍再昇格へアピールを続ける。

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