主砲の「同点打2本」が勝利を引き寄せた。阪神大山悠輔内野手(27)が窮地をはね返す快打を連発だ。4点を奪われて3点リードを逆転された直後の5回、本領を発揮した。2死一塁で剛腕コルニエルと向き合った。2球目だ。一塁走者の佐藤輝が二盗に成功。大山は打席で冷静だった。

「輝が盗塁してくれたのでタイムリーになった。得点圏になったのでそういう意味では、より集中できた。逆転されて、すぐに同点にできたことはよかった」

昨季165キロを計測した助っ人の球威にも動じなかった。159キロをファウルで逃げた直後、スライダーを狙いすましてとらえた。技ありで二遊間を破った。ショックの残る4失点を帳消しにする同点打だ。矢野監督も「2死からタイムリー。逆転された後だったので『よし、もう1回いくぞ!』と。2死からでしたし、すごくいい1点」と最敬礼。ナインを鼓舞した。

心に重しがあるから、窮地で踏ん張れる。前日8月30日広島戦は8回、決勝本塁打を放った。ヒーローは称賛される。だが、大山の胸中は違った。「チャンスは全部打とうと思ってますし、しっかり反省して試合に入った」。会心のアーチに満足せず、得点圏での2度の凡退を悔いた。毎日が新しい1日だ。この日の試合前練習。フリー打撃は前日と同じように右方向の軽打から始め、ミートポイントなど感触を確かめた。丁寧な作業を1つずつ重ねて試合に臨む。地に足がつくから大黒柱は揺るがない。

思いをぶつけたのは1点を追う4回だ。1死一、二塁。九里の外角スライダーをバットの先端でとらえて左中間に落とした。渋い適時二塁打で同点に戻していた。新型コロナウイルス感染からスタメン復帰した8月19日巨人戦以降は打率4割。78打点はリーグ2位だ。主力らしく、堂々たる姿が頼もしい。【酒井俊作】

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