ヤクルト村上宗隆内野手(22)が、今季最終戦で日本選手シーズン最多となる56号本塁打を放ち、史上最年少の3冠王を獲得した。

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村上の日本選手新記録となる56号本塁打に、しみじみと話す恩師がいる。「王さんの記録にね。すごいなあ。我々の世代にとって、王さんの55号は特別じゃないですか。ねえ」と感慨深げに語るのは、熊本東リトルシニアの吉本幸夫監督(66)だ。

入団してきた頃は「普通の小学6年生。すごくかわいかったですよ」。初めての練習試合に代打で出したら、いきなり三遊間を破った。「おお、最初から打ちやがった」と目を見張った。もっとも、二塁守備ではエラー。マウンドでは兄友幸さんが投げていた。「お兄ちゃん、ごめん」。涙を浮かべる「ムネ」の姿が忘れられない。

かわいいところは今も変わりませんか? 「もう、今はそんな感じじゃないですよ。そんなこと言ったら、怒られる。我々の想像をはるかに超えた、本当にすごい選手。そういう選手に携わることができたというのは、ほんと、俺、光栄だなあと思いますよ」と優しく笑った。ソフトバンクの吉本亮打撃コーチを息子に持つ。「私はソフトバンクファンですから」と語る恩師は、日本シリーズでヤクルトとソフトバンクの対戦が実現することを楽しみにしている。【古川真弥】