アレじゃないよ。アリや。阪神が自由契約となったレンジャーズ傘下3Aラウンドロックの有原航平投手(30)の獲得へ名乗りを上げた。調査を進めていたが、6日(日本時間7日)に米マイナーリーグ公式サイトが有原が自由契約を選択したと発表した。岡田彰布監督(64)は「そら、興味はあるよ。(早大の)後輩やから」とラブコールを送った。有原獲得となれば、さらに先発陣が充実し、悲願の18年ぶりの「アレ(=優勝)」へ向け、大きな戦力アップとなる。

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岡田監督は明快だった。南国高知で秋季キャンプ中の指揮官はこの日自由契約となった有原について「興味はあるよ。(早大の)後輩やからな」と、はっきり言った。この日から日米すべての球団との交渉が可能となった。「そら、一番先に言うてある」と、調査を続けていた球団に交渉可能となれば、アタックするように伝えていたことを明かした。

岡田流のラブコールだ。西武森やDeNA嶺井、オリックス伏見がFA権の行使を表明した際は、「そんなんいらんよ。チームが若くなってきたのに」と、まったくと言っていいほど興味を示さなかった。ところが、早大の後輩である有原の話題はまったく反応が違った。

日米通算63勝を挙げた有原だが、米国2年目の今季は3Aで開幕を迎え、6月にメジャー昇格も5試合で1勝3敗、防御率9.45と数字を残せず9月に再び3Aに降格していた。米1年目の昨年5月に右肩の動脈瘤(りゅう)治療のため手術を受けるなど、2年間通算15試合でわずか3勝しか挙げられなかった。だが、故障も癒え、まだ30歳と若く日本球界に復帰すれば、先発の一角として十分に活躍できるとみている。

「外しとったらしいな、ドラフトで」と、元虎の恋人への再アタックの思いも口にした。14年ドラフトで1位指名も、日本ハム、DeNA、広島と4球団競合。和田監督がくじを外していた。日本ハムでは15年から先発として活躍。6年間で60勝を挙げた。

今季セ・リーグトップのチーム防御率2.67をマークするなど投手陣は充実している。先発は青柳、伊藤将にFA権の行使を熟考中の西勇、若手の西純、才木とそろい、現在、外国人投手も探しているが、経験豊富な右腕の加入は大きな戦力アップとなる。03年には米国帰りの伊良部が13勝を挙げリーグ優勝に貢献した。日米での争奪戦となりそうだが、頼もしい早大の後輩の加入を岡田監督は待っている。【石橋隆雄】

◆有原航平(ありはら・こうへい)1992年(平4)8月11日生まれ、広島県出身。広陵3年時に甲子園春夏連続出場。早大ではリーグ通算62試合、19勝12敗、防御率2.72。14年ドラフト1位で日本ハム入団。15年5月15日オリックス戦でプロ初登板初勝利。同年は8勝で新人王。16年は11勝でリーグVと日本一に貢献。19年はキャリアハイの15勝を挙げて最多勝。ポスティングシステムで21年からレンジャーズに移籍。日本通算129試合に登板し、60勝50敗、防御率3.74。メジャー通算15試合登板、3勝7敗、防御率7.57。188センチ、95キロ。右投げ右打ち。

◆阪神の14年ドラフト1位 早大の有原に初回入札。DeNA、広島、日本ハムと4球団の競合になり、抽選で日本ハムが交渉権を獲得した。2度目の入札で山崎康晃(亜大)の獲得を目指したが、DeNAも入札し2球団による抽選で敗れた。外れ外れ1位で横山雄哉(新日鉄住金鹿島)に単独入札し獲得。有原は日本ハムでエースとなり、山崎はDeNAの抑えに成長。横山は通算9試合で3勝に終わり、20年限りで引退している。なお阪神がドラフト最上位で入札し、抽選で逃した選手を後に獲得すれば史上初となる。

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