オリックスは17日、ポスティングシステム(入札制度)によるメジャー挑戦を熱望してきた吉田正尚外野手(29)の大リーグ移籍を容認すると発表した。

16年から7年間、チームの主軸として活躍した主砲の思いをくみ、福井で生まれ育った幼少期からの夢を後押しした。

V3を狙うオリックスは慎重にポスティングシステム容認を検討し、今オフの戦力補強に当たっていた。16日に西武から国内FA権を行使していた森の獲得を発表。現在は日本ハムから海外FA権を行使している近藤の獲得に全力を注いでいる段階だ。

その間、吉田正とは代理人を通じての話し合いを継続してきた。吉田正は日本球界屈指のヒットマン。プロ7年間で首位打者2回、最高出塁率2度。18年から5年連続で打率3割以上の数字を残し、今季はリーグ連覇と26年ぶりの日本一を呼び込んだ。

これまで、オリックスでポスティングシステムの利用が認められたのは、00年オフにマリナーズへ移籍したイチローのみ。吉田正は今後、大リーグ機構から全30球団に契約可能選手として通知される。思い描いた夢まで、あと1歩のところまできた。

◆吉田正尚(よしだ・まさたか)1993年(平5)7月15日生まれ、福井県出身。敦賀気比では1年夏と2年春に甲子園出場。青学大を経て15年ドラフト1位でオリックス入団。定位置を確保した18年から3年連続全試合出場。20、21年に首位打者、21、22年には最高出塁率も獲得。18~21年にベストナイン選出。21年から選手会長に就任し、2年連続のリーグ優勝と22年の日本一に大きく貢献。日本代表としては19年プレミア12優勝、21年東京五輪では金メダル獲得と、球界を代表する外野手となる。173センチ、85キロ。右投げ左打ち。

◆ポスティングシステム 海外FA権取得前に大リーグへ移籍できる制度。日本野球機構(NPB)を通じて大リーグ機構(MLB)に契約可能選手として通知される。今年の申請期間は12月15日まで。現在は入札による独占交渉ではなく、譲渡金支払い意思のある全球団と交渉できる。日本球団への譲渡金は、選手の契約内容に応じて決まる。日本選手では00年オフにイチロー外野手(オリックス)が初めて申請し、マリナーズ移籍。19年オフの菊池涼介内野手(広島)、20年オフの菅野智之投手(巨人)西川遥輝外野手(日本ハム)のように、交渉不成立で残留するケースもある。