第51回三井ゴールデン・グラブ賞の表彰式が29日、都内のホテルで行われ、ロッテからは高部瑛斗外野手(24)が出席した。

今季は1番打者として台頭し、春先は左翼手で、荻野復帰後は中堅手として不動の存在になった。規定打席に到達し、盗塁王も獲得。さらにパ外野手で1位の得票となり「守備面で評価してもらえたことに僕の中では驚きとうれしさがあって、その守備をもっともっとやろうというモチベーションになりますし、さらなるものを見られるかなと思いました」と喜んだ。

致命的なミスから成長した。4連勝で迎えた4月6日の日本ハム戦(札幌ドーム)。同点の9回無死一、三塁。日本ハム宇佐見の飛球が左翼線上に高々と上がるも、左翼高部は処理への判断に迷ったのか、打球は何もできずにフェアゾーンへ落下。サヨナラ負けを喫し、悔し涙を流した。

「経験もないですし、いろいろなマイナス要素が重なって起きてしまったことだと思うので」

一方で、今季ベストプレーに挙げるのは、その約2週間後、4月24日のオリックス戦(京セラドーム大阪)。初回1死一、二塁。吉田の左前打に猛然とチャージした。

「もちろんちょっと引ける気持ちもありましたけど、それだったら今までと一緒だなと感じてたので、そこは思い切ってプレーしてダメならOKという気持ちでやりました」

バックホームでアウトにした。

「それまでは朗希1人で頑張ってもらって、試合に勝てていたイメージがありましたけれど、その中で朗希が初回から苦しんでいて何とか助けられました。チームのためにプレーできたと思えた瞬間でした」

試合後、ダグアウトで佐々木朗から尻をたたかれ笑顔を交わした試合だった。「ミスしてその後つなげることができたので、今では全然マイナスじゃないなと思います」。守備でも日に日に成長していった。

来季は開幕から不動のレギュラーとして期待される。「センターでやりたい気持ちは強いです」と意気込む。

そんなセンターでの、今年のベストプレーは。

「どれですかね…清宮君の後方のフライか、日ハム戦のバックホームのどっちかですかね」

その1つに挙げたバックホームは、6月19日の日本ハム戦(札幌ドーム)。4回2死二塁で、日本ハム杉谷が中前打。高部が猛チャージし、本塁へノーバウンド送球。松川のコリジョン対策もばっちりで、本塁を狙った二塁走者の日本ハム野村をアウトにした。

見事なストライク送球だった。国士舘大時代、他球団のスカウトが口にした。

「高部は本塁や三塁への送球が少しだけずれるのが気になる」

実はオリックス戦の本塁送球も少しだけ一塁側にずれていたが、この日本ハム戦のバックホームは文句なしのストライク。来季もみせる。【金子真仁】