アレに奇襲はいらんよ-。15年ぶりに虎の指揮を執る阪神岡田彰布監督(65)を、日刊スポーツ評論家の鳥谷敬氏(41)が直撃した。早大の後輩でもある教え子との本音だらけの“ぶっちゃけ対談”を、ウェブ上では3日間に分けて計6回連載する。第1回は野手編の上。現時点での4番最有力候補は? 佐藤輝に足りないモノは? アレ(優勝)への手応えは? 23年構想を余すところなく語り尽くした。【取材・構成=佐井陽介、石橋隆雄】

鳥谷氏 新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。早速ですが、まずは今年の目標を教えてください。

岡田監督 おう、今年もよろしく。目標はオマエ、そら当然、アレ(=優勝)や。1年目から。おーん。アレを狙うわけやから。

鳥谷氏 「優勝します」ではなくて「アレします」ですね。今、「アレ」も含めて監督の言葉が世間で注目されていますね。

岡田監督 なあ。そんなに言うてくれんでええのに(笑い)。これはオリックス(監督)の時に交流戦で優勝しそうやったんよ。しょせん交流戦やのに、なんか「今日勝ったら優勝みたい」とかそういうのがあってな(※1)。「そういうことをあんまり言うな。どっちみちプレッシャーかかるんやから」って。それでアレって言うとったんや。

鳥谷氏 いろいろ注目度が高くて大変ですね。

岡田監督 いやいや。まあ、普通にやるだけよ。そんな奇襲というか、とてつもないことをしないと勝てないチームじゃないからね。はっきり言って。おーん。別にオレが一喜一憂してもあかんから。長いシーズン、6カ月も143も試合をするけど、いかに平常心で普通に1試合1試合選手ができるかをサポートするだけやから。弱いチームで何か変わったことをしないと勝てないチームだったら、ちょっと奇襲、秘策みたいなんでやらなあかんけど。そういうのをやる必要はないで。選手の力をもっとレベルアップして、強くしたらいいだけ。普通にやれば勝てるチームにすることが、オレらの仕事やから。

鳥谷氏 ここからは今年のチーム構想を聞かせてください。まずは打順ですが、1、2番は近本選手、中野選手ですよね。外国人選手が3番か5番かは分かりませんが、4番は現状どんなイメージですか?

岡田監督 うーん、なあ、これは。今やったら大山やなあ。うん、やっぱり。

鳥谷氏 佐藤輝明選手には何が足りないのですか。

岡田監督 うん? (3秒考えて)…練習やな。

鳥谷氏 あまりガンガン練習できるタイプではないみたいですね。

岡田監督 いやいやいや。もうビックリしたわ。体力ないよなあ。おーん。ほんま体力ない。秋季キャンプでも、オレも下(サブ球場)でノック見とってなあ。途中で止めてスタスタ馬場(内野守備走塁)コーチのところに言いにいって(※2)。腰とか背中の張りとか、オレらは分からへん。結局、本人やから。

鳥谷氏 張るためにやる部分もありますからね。

岡田監督 そうやん。そのためのキャンプやのに…。張りとか違和感は本人にしか分からへんからな。もう「無理すんな」になってしまうもんな。おーん。まあ時期も11月やったし、とは思うけど。やっぱり練習できんいうのは、あかんわな。練習できる体力っていうか、そのへんやなあ。なんぼ頭で分かってても、体がついてこんかったら、どうしようもないもんなあ。

鳥谷氏 2年連続で後半に疲れて見えたのも、そういう部分があるのかもしれません(※3)。

岡田監督 でも「バテてます」で結果が出なくなるっていうのは、やっぱり1年間レギュラー張ってやるんだったら、そんなんは通用せえへんよな。(野手編下に続く)

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※1…オリックス監督時代の10年、交流戦で選手が意識しすぎないように「優勝」とは言わず「アレ」と表現。コーチや報道陣まで「アレ」と表現して初優勝。

※2…高知秋季キャンプ中の11月19日、佐藤輝は特守中に背中の張りを感じて途中離脱。翌20日は特守を志願し、右手人さし指を負傷しながら約1時間のノックを完走した。

※3…佐藤輝は1年目の21年、前半戦で20本塁打も後半は2軍降格も含め59打席連続無安打と大失速。2年目の昨季は全143試合に出場も、前半戦打率2割7分4厘から後半戦2割4分4厘と失速。