15年ぶりに虎の指揮を執る阪神岡田彰布監督(65)を、日刊スポーツ評論家の鳥谷敬氏(41)が直撃した。早大の後輩でもある教え子との本音だらけの“ぶっちゃけ対談”。第2回は野手編の下だ。昨季まで遊撃レギュラー格だった中野の二塁コンバートにめどがつき、小幡と木浪の遊撃争いにも納得顔。ドラフト1位森下は開幕右翼スタメンもありそうだ。【取材・構成=佐井陽介、石橋隆雄】

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鳥谷氏 久しぶりに現場復帰されて、秋季キャンプは疲れませんでしたか?

岡田監督 キャンプ、きつかったなあ。安芸はあの(メイン球場からブルペンに向かう)階段があるからな。もう上がるのは車で上がってきたけど、下りるのは(自分の足で)下りるけど。でも、段々あれやな。3週間やったけど、だいぶ慣れたな、最後の方は。

鳥谷氏 実際にグラブをはめて教えたりは、自分が現役時代はほとんどなかった。バッティングでも「こうやって、こうする」とか。今はあえて意識してされているのですか?

岡田監督 そら、あれよ。前はだって、完成されたチームて言うたらおかしいけど。(就任前年の03年に)優勝の後やったし。今は若なったからな、ほんと。30過ぎが一番なんかな。(野手では)梅野とか、あれが一番上やしなあ(※1)。11月はほとんど若いヤツで、フェニックスに行って全然見てない選手もいっぱいおったからね。だから、あれやなあ。ちょっと変えたら、すごい伸びしろがありそうな、な。おーん。そういう感じを受けたんでな。ちゃんと教えたったら、みんなすごいレベルアップするっていうかな。

鳥谷氏 評論家として上から見ていたじゃないですか。実際に現場から見たら想像以上に良かった選手はいましたか?

岡田監督 一番ギャップあったんは木浪やな。

鳥谷氏 木浪選手!

岡田監督 おーん。木浪なんか、オレが知ってる限り、1年目はどっちかって言うと近本よりも、1番木浪2番近本やったやろ?(※2)オープン戦とかも結構打ってて、ああ、これはええ選手なるなあと思ってたけど、それからは「どこにおるねん」みたいな感覚やんか。ベンチには入ってたみたいやけど、試合に出るっていうのはほとんどなかったからな。だから久しぶりに見て、これはええ選手やなと思ったよな。おーん。

鳥谷氏 中野選手を遊撃から二塁にコンバートさせた理由も教えてください。

岡田監督 中野はね、ずっと2年くらい(評論家として)スタンドから見て、守備位置が前過ぎるんよなあ。上から見てたら、よう分かるやんか。(通常より前の)ゲッツーのとこくらいを守ってるんよな、普通でもなあ。当然そうなってくると、ヒットゾーンも広がるしなあ。やっぱりちょっと肩に不安あるのかな、おーん。前に守りだすのは、その不安やと思うな。だからまあ、セカンドの方が合ってるのかな。大学(東北福祉大)の時も半分はセカンドを守ってたんやな。なんかベストナインを取ってるんやな、見たら(3年春に遊撃、4年春秋は二塁でベストナイン受賞)。プロに入った時も最初はセカンドの練習とかやってたし、セカンドの方が肩の不安という意味ではな。打撃に専念できるんちゃうかなと思ったね。

鳥谷氏 遊撃レギュラー候補の小幡選手は実際に見てどうでしたか。

岡田監督 いやあ、小幡は肩が魅力やな。今のショートの中では一番肩強いで、はっきり言って。ちょっと飛び抜けてるわな。だからオレは最初、打つのは目をつぶってでも、小幡でいこう思とった。そこに木浪があまりにもいいからなあ。木浪も肩強いんよな。ビックリした。新しい発見っていうか、まあ、いい方の発見やから良かったけど。でも小幡の守備は必要やしな。外野の中継とかでも1人あの肩がいてるだけで全然違うもんな。おーん。

鳥谷氏 やはり中心ラインはある程度固めていきたい感じですよね。

岡田監督 そうやな。まあ、近本はセンターをな。

鳥谷氏 捕手には梅野選手がいて、二塁には中野選手がいて、遊撃が決まれば、という感じですか。

岡田監督 そうそう。まあセカンドは中野である程度はな。ゲッツーとか見とっても、こらいけるなと思ったから。だから最初に思ったんが、ショートは小幡でな。打つ方は目をつぶっていこうと思たんが、ショートが一番悩むようになってきたな。おーん。それほど木浪は良かったな。

鳥谷氏 佐藤輝明選手は三塁ですよね。

岡田監督 おお。佐藤サードで大山ファーストでなあ。あかんな、(佐藤輝の)守備(苦笑い)。考え方を変えなあかんな。野球に対してのな。

鳥谷氏 佐藤輝明選手は持っているものはすごいですよね。

岡田監督 ええもん持ってると思うよ。おーん。

鳥谷氏 三塁守備では送球までのバランスとかをもう少し良くすれば、というふうに見ています。

岡田監督 いやいや、そらノックで守備は大丈夫になると思うけどね。バッティングは分からんわ。

鳥谷氏 外野陣はどうですか。(中堅の)近本選手は決まっていますが、左翼、右翼は外国人選手であったり、ドラフト1位の中大・森下翔太選手だったりですか?

岡田監督 レフトは新外国人で行こうと思てる。まあ、新しいのは、ほんと分からんからな。キャンプに来てな。まあ、映像しか見てないんで。まあ(外国人選手を)2人(両翼に)使おうとは思わんよ。

鳥谷氏 両翼の片方を外国人選手にする、と。

岡田監督 そう。まあレフトやな。おーん。もう1人は思い切って森下を使ってみてもいいし。もう1人、バッティング良かったんは板山やなあ。あれ、しかし、どこでも守れるなあ。

鳥谷氏 二塁も守れますよね。

岡田監督 結構器用やもんなあ。肩も強いしな。あのバッティングはちょっと外せんと思ったなあ。1軍の代打であろうがな、いろんな面でなあ。おーん。(2日投手編上に続く)

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※1…昨季限りで41歳の糸井が引退。今季は野手では91年生まれの31歳梅野が最年長に。投手では90年生まれで32歳の西勇、二保が最年長となる。

※2…19年は開幕から4試合、8月28日から17試合連続など計23試合で1番木浪、2番近本の「キナチカコンビ」を組んだ。近本は1番を108試合打ち、木浪は60試合で7~9番の下位打線を任された。