日本ハム伊藤大海投手(25)が18日、札幌市内の球団施設で自主トレを公開した。年明けは敬愛するパドレスのダルビッシュ有投手(36)と米サンディエゴで合同自主トレを行い、意識改革。生まれ変わった「ニュー大海」が、WBC制覇と、新球場初年度での日本一を引き寄せる。

ダルビッシュから誘われ、1人で6日に渡米。サンディエゴで約1週間練習し、自宅に招かれ、一緒に筋力トレーニングにも励んだ。初めて対面を果たし「野球に取り組む姿勢。普段どんなことを考えてるとか、どんなふうに試合に向けての準備をしているのかを、一緒に行動して感じることができた。それがすごく自分の中でプラスになった」と振り返った。

朝から晩まで一緒に過ごし、プロ選手としての存在意義についても考えさせられた。プライベートでの交流とあり「言葉をそのまま言うことはできない」と前置きをした上で、心境の変化を口にした。「野球がなかったらこういう立場にはいない。現状に満足せず、上に上にと考え続けることが、プロ野球選手としての意義」と、かみしめるように話した。

3月には“師匠”とともに臨むWBCが控える。メジャー仕様のボールで自主トレを続け「ロジンを使わない方が投げやすいことに気がついた。暖かくなってきたらどうなるのかなっていうのはあるんですけど、今のところはなしで大丈夫」。五輪金メダルにつながった“追いロジン”は封印し、ロジン抜きでの世界一を見据える。

侍ジャパンの栗山監督からも直接、連絡が入った。「『いろんなところで投げる可能性があるので、迷惑かけるかもしれないけど』と言われたので、いろんなところでチームのためになれればと、お話をさせてもらいました。臨機応変に対応できるように準備したい」と思い描いた。

今オフは「昨季は空振りが取れないという苦しい投球が続いたので、もう1度真っすぐの強さ、変化球の精度、組み合わせを確かめながらスタイルを確立したい」と、肉体改造。トレーニングウエアの上からでも見て取れるほど、大胸筋がふくらんだ。体重は今季登録の82キロから「83キロ前後で、82キロを切ることはなくなった」。体脂肪も絞り「以前よりスピード感も出ましたし、体も扱いやすい。力感がちょっと少ないところでも前の思い切りに近いかな。出力抑えながら上がり幅は期待できそう」と手応えを口にした。

色紙には「越」の文字を記した。「いろんな意味で自分を越えていく、自分の数字を越えていく。自分がやったことがない、見たことがないその先に行く。今年は生まれ変わるくらいの気持ちを持って」。年始は故郷北海道・鹿部町の稲荷神社でおみくじを引き、1回で大吉が出た。趣味の釣りでも「51センチのアブラコが釣れました」と好調。次は、尊敬する偉大な先輩と力を合わせ、世界一ビッグな獲物を釣り上げに行く。【永野高輔】