阪神からポスティング申請を利用してアスレチックスに入団した藤浪晋太郎投手(28)が21日、甲子園で移籍会見に臨んだ。 途中でチームメートからサプライズ動画メッセージが届くと、感極まる場面も。10年間苦楽を共にした聖地で「阪神タイガースの藤浪晋太郎で良かった」と感謝。メジャー1年目の先発ローテ争いへ、はい上がる決意を言葉に変えた。

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◆藤浪の一問一答

-大リーグ移籍が決まった。率直な気持ちを

「決まっただけなので、どちらかといえば引き締まる思いというか、しっかりやらなきゃなという思いが一番強いです」

-ワクワクする気持ちは強いか

「もちろん不安もあります。でも、ワクワクが大きいですね」

-藤浪にとって甲子園とは

「自分を育ててくれた球場であり職場でもあり…。いろんな面があるけど、一番思い入れのある球場です。子供の頃に見に来ていた時からあこがれの球場でしたし、高校時代のいい思い出、プロ野球に入ってからのいい思い出、悪い思い出…。たくさん詰まった一番大好きな球場です」

-メジャーではどんな投球を

「自分にとっては挑戦。挑戦するからには思い切ってやりたい。いろんな経験、いろんなものを吸収しつつ成長できたらと思います。直球、スプリット…いろんな球種が自分の武器だと思うので、それを思い切って出しつつ、日本の皆さんにも応援してもらえるような面白い、見応えのある投球ができればと思います」

-動画メッセージも

「うれしいですね。タイガースの後半は特にいい数字残せたわけではないのに…。本当に良くしてくれたチームメート。みんなに出会えて良かった。最高のチームメートだったなと思っています」

-動画メッセージで「泣きそうになった」と。本当に危なかったか

「メッセージを見ながら『ちょっと危ない』と思っていました(笑い)。ここまでしてもらうのも申し訳ないな、と」

-事前にチームメートから言葉をかけられたりしたのか

「あまり直接LINEが来たというのはないけど、皆さんメディアを通じて応援のコメントを出してくれている。ありがたく受け取っていますし、応援してもらっていると実感しています」

-阪神に入って良かった

「そうですね。本当にいい経験、つらい経験といろいろありましたけど、それも全部ひっくるめて、阪神タイガースの藤浪晋太郎でしかできなかった経験。すごくいい10年間だったかなと思っています」

-10年間で一番印象的なシーンは

「なんでしょうね。いろいろありますけどね。一番となると難しいですね」

-それはしんどかった時なのか、勝っていた時なのか

「うーん、どうですかね。2019年ですかね。夏に1軍で1試合だけ登板したんですけど、その時、全然良くなかったのに大歓声をもらったことは今でも覚えていますね(19年8月1日の甲子園中日戦で5回途中1失点降板)。他の思い出もあるけど、印象深かったというか、すごく応援してもらっているんだなと感じた試合でしたね」

-海外FA権ではなくポスティング制度での移籍。ここまで盛大に送り出してもらえると予想していたか

「全然、全然! もっといろいろ言われてもおかしくなかったのに、本当に盛大というか。まるでめちゃくちゃチームに貢献して出て行くかのような(笑い)。すごい送り出し方をしてもらったので、より頑張らないといけないと今日感じました」

-この10年間、内面で一番変わったなと思う部分は

「たくさんありますけど、いいことはもちろんいいこととして、悪いことも含めて良かったなと思えるようになったのは1つ、人間として成長できたところですかね。いい経験をたくさんさせてもらったから思えることかなと思います」

-今日はたまたま甲子園にいたファンから「頑張れ」という声も

「そうですね。タイガースファンの方からはもっといろいろ言われるかなと思っていたのが正直なところだったので(笑)。これほど応援してもらえるのは、自分の中でも予想外というか。ぜひそういう方々の応援、期待に応えられるように、向こうでも頑張りたい。なんらかの形でファンの方々に恩返しできればと思います」

-大阪桐蔭時代に春夏連覇した甲子園で会見

「やっぱり最後…会見させてもらえる選手ではないんですけど、させてもらえること自体がありがたいですし、その上これだけ盛大にやってもらえて…。自分を育ててくれた甲子園でできるのはすごくうれしい。選手冥利(みょうり)に尽きます」

-今後はしばらく甲子園近辺で練習するのか

「そうですね。ありがたいことにタイガース球団の方に『鳴尾浜も甲子園も施設を使っていいよ』と言っていただいている。ありがたく使わせてもらいながら、しばらく練習させてもらいます」

-早めにキャンプ地に行くという話も

「就労ビザの関係でそれ次第になるんですけど、下りたらできるだけ早く行きたい。向こうの環境とか、いろいろ慣れないといけないことも多いので」

-まだイメージが湧かないかもしれないが、数字的な部分で目標はあるか

「いや、まずはローテーションにしっかり入ること。しっかりアピールして勝ち取って、ローテーションを年間を通して穴を空けずに守ることが、自分の中では一番大事かなと思っています」

-米国会見では両親や球団への感謝の気持ちも

「両親も含め、たくさんの方の支え、応援があって、アメリカに行かせてもらえることになったし、今の自分があると思う。本当に感謝しています」

-大リーガー藤浪としての意気込みを

「せっかくチャレンジさせてもらうスタートラインに立てたので、思い切って勝負したい。まだスタートラインに立っただけなので、これから覚悟を決めて思い切って勝負できたらなと思います」

-阪神ファンへ

「10年間、本当にお世話になりました。いいところも悪いところもたくさんあったと思います。もっと貢献して、いい形でファンの方に送ってもらえるのが良かったですけど、こういう形でアメリカに挑戦させていただくことになりました。思い切って勝負するところを見ていただきたいなと思います」