カナダ生まれの「キン肉アタル」が、パワー全開で支配下入りを狙う。日本ハムの育成3位山口アタル外野手(23=テキサス大タイラー校中退)が23日、新人合同自主トレを行う千葉・鎌ケ谷で、自慢の筋肉を披露した。偶然にも、名前の「アタル」は漫画「キン肉マン」の兄と同じ。「ポンコツだった」という体から一念発起。高3から鍛え始めてプロ入りの夢をつかんだ努力家が、球界のスーパーヒーローを目指す。

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練習中も立派な胸板から目が離せない。カナダから“逆輸入”で日本ハム入りした山口の名前は「アタル」。ドラフト会議後、日本人の父から教えられて、プロレス系格闘漫画「キン肉マン」の主人公の兄と、同じ名前だと知った。

“本家”のように、ムキムキボディーが自慢で、ベンチプレスは147キロ、垂直跳び69センチはチームでもトップクラスを誇る。大渕スカウト部長兼GM補佐がつけたあだ名は「フィジカル・モンスター」。高3で筋トレを始めるまで「(体は)ポンコツだった。ぶよぶよで、身長も低かった」。自慢の筋肉は「お尻」。パワーを付け、柵越えを放つようになった。

天真らんまんで努力家だ。新人合同自主トレ中も「みんなと比較して、バットを振っている回数が人生の中で少ないから」と、夜間や休日返上で練習する姿が目立つ。打撃スタイルは自己流。専門的な打撃指導を受けた経験が少なく、メジャーの昨季MVPジャッジ(ヤンキース)や18年MVPのベッツ(ドジャース)を手本に研究した。少年期から猛練習を積んできた日本育ちの選手を追い越すために、努力を惜しまない。

初の春季キャンプまで、1週間ほど。「初めて沖縄に行くので、めっちゃ楽しみ。(故郷の)バンクーバーは寒いし、リゾートみたいなところはないから」。投手から転向し、野手としては5年ぶりというシーズンインまで、あと少し。「守備は下手くそだけど、頑張ってうまくなって、走攻守の(優れた)選手になりたい」。漫画の「アタル」は「キン肉マンソルジャー」として戦い、正義超人たちから尊敬を集めた。球界のスーパーヒーローを目指すアタルの挑戦が、始まる。【中島宙恵】

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