栗山殿の30人がそろった。侍ジャパン栗山英樹監督(61)が26日、3月のWBCに臨む登録予定選手を発表した。既に発表済みだった12人に18人を加え計30人。悩みに悩んだ末、半分の15人を投手に充てた。予備メンバー20人も合わせ、全員で戦っていく。

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「if」はあり得ないが、もし、もう1人、31人目を選べるとしたら。栗山監督は「ピッチャーと外野手、ピッチャーと内野手というコンビの中で、最後(投手)15人に絞りました。あと1人、増やせるのなら、どのポジションも1人ずつ入れたいです」と笑顔を交え、打ち明けた。30人目、最後の1人は、手薄感が残る遊撃や外野のバックアップを入れる手もあった。だが、投手を選んだ。日本野球とは何かを考えたからだ。

「ニッポン野球の魂。先輩が作ってくれた日本の野球。その魂を最大限に生かせる形は何か?」

考え、考え、考え抜いた。結論は「基本的には投手中心に守り切って、我慢して勝ちきっていく。ならば、投手交代のところで足りなくなることだけは許せない」。大会ルール上、投手は14人いればいい。それよりも1人多くした。「これが正しいか分かりませんが、このメンバーが一番(勝つ)形を作りやすいのではないか。自分の中で思って選びました」と決断した。

内定通知は自ら受話器を取った。「1人1人の選手と戦っていく思いを共有したい。電話がつながった瞬間『命懸けで行きますよ』と、言葉ではない空気感が伝わってきた。それで十分だった」。選手の所属球団に任せても良かったが、直接伝えたかった。「魂」で通じ合った。

外さざるを得なかった選手もいる。「選ばれてないから力がどうの、ではない。組み合わせとして」と思いやった。全チームの最終ロースターは、米国時間2月9日に発表される。予備メンバーは20人。「大会が始まっても選手の入れ替えは行われていく。そういったこと含めて、全員で戦っていきたい」と力説した。

選考は悩み抜いた指揮官が、この質問には悩まなかった。目標は? 即答した。

「世界一! それだけです」【古川真弥】

 

○…今回の侍ジャパンはWBC史上、もっとも若いメンバー構成となった。平均年齢(今年の満年齢)27・3歳は過去4大会と比べ最年少(第1回より29・2歳、28・7歳、30・0歳、28・5歳)。最年少は高橋宏の20歳(満21歳)で、最年長はダルビッシュの36歳(同37歳)だ。ただ、栗山監督は「若い選手を、あえて選ぼうとしたつもりは全くない。勝つことが今回の使命。一番勝ちやすい選手を選ぼうとした」と、年齢は結果に過ぎないとした。

○…大勢、栗林、さらには勝負どころでは大谷と複数の抑え候補が挙がる。栗山監督は「戦略上、いろんなパターンを考えて選んだ。ボールの違い、環境の違い、春先の状態。臨機応変に状況を判断しながら」と守護神の明言は避けた。昨季37セーブの大勢については「ボールの強さがあるし、調子が良くない時も絶対引かない」とマウンドでの姿勢も評価した。

 

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