さあ、右翼バトル本格開戦-。阪神4年目の井上広大外野手(21)が29日、沖縄・宜野座キャンプの先乗り合同自主トレ初日から特大弾を放ち、最激戦区レギュラー争いの幕を開けた。

一番乗りでフリー打撃に臨むと早速、23年岡田阪神の「宜野座1号」を記録。昨年12月に西武山川、巨人坂本と自主トレを共にしていた事実も明かし、覚悟を胸にドラフト1位森下翔太外野手(22=中大)、前川右京外野手(19)らとの仁義なき戦いに突入する。

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つい2時間ほど前まで虹がかかっていた宜野座の青空に、今度は白球のアーチがかかった。気温は15度前後。井上は心地よさそうにバットを振った。

「ずっと寒いところでやっていたので、慣れていけばいい。体が動くからといって無理しないように」

言葉は控えめでも、その行動には闘志がみなぎっていた。沖縄先乗り自主トレの初日。高山とともにフリー打撃一番乗りを果たし、12スイング目だ。どっしり構え、左中間へ推定飛距離120メートル弾。23年岡田阪神の「宜野座1号」を「(打席に入った)順番ですから」と笑い飛ばせる余裕が頼もしい。

計34スイングで柵越え4本。中には推定飛距離125メートルのアーチもあった。右翼レギュラーをかけた勝負が2月1日から、いよいよ本格化する。開戦の号砲を鳴らすかのように、乾いた打球音を響かせ続けた。

オフは超一流のエキスを体に染み込ませた。12月は元阪神コーチの平野恵一氏(現台湾・中信兄弟の打撃・野手統括コーチ)らと沖縄県内で自主トレ。同氏のサポートもあり、西武山川、巨人坂本と1日限りの合同自主トレにも参加した。球界屈指のアーチストと通算2205安打のバットマンから吸収した極意は今、糧になっている。

「打つんだったら左中間右中間。変に流そうとしたら(バットの)ヘッドが下がっちゃうし、それやったら、間に打ち返していけばいいんじゃないか、と」

とりわけ山賊打線4番の言葉が頭に残る。「『引っ張った』はダメ、『引っ張れた』はOK。『流せた』はOK、『流した』はダメ」。基本はセンター返し。結果的に左右に打球がブレる意識が大切だという。実践できれば、外野の間を破る長打増加も期待できる。

「センターに打ちにいって、遅かったらライト方向に。ちょっと早くなってレフト方向に飛ぶのもいい」

右翼筆頭候補のドラフト1位森下がキャンプ2軍スタートの中、2月上旬の南国はまたとないチャンスの舞台。プロ4年目、勝負の春が始まる。【中野椋】

◆阪神右翼争い 開幕定位置争いの最激戦区。有力候補のドラフト1位森下が右足の肉離れで2軍キャンプスタートと出遅れ。若手のホープ井上と前川に加え、当初は左翼争い2番手と目されていた新外国人ミエセス、評価上昇中の板山、復活を期す高山らがアピール合戦を繰り広げる。中堅は近本で確定。左翼はノイジーが最有力となっている。

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