新型コロナによる規制が3年ぶりに一部緩和され、プロ野球春季キャンプが2月1日からスタートする(西武は6日キャンプイン)。

各球団は感染対策を講じながら、ファンサービスや交流イベントを復活させる予定。30日には、沖縄・名護に先乗り入りしていた日本ハム清宮幸太郎内野手(23)と野村佑希内野手(22)が、パ・リーグ6球団合同企画「ホームランキャッチのお仕事体験」に出席し、参加者と直接触れあった。キャンプ地入りした新庄剛志監督(50)も「ファンの力」の大切さを説いた。

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清宮の放つ打球を、外野の芝生で待つファンが追う。新型コロナ感染拡大後は見られなかった情景が、キャンプ地の沖縄・名護に広がった。パ6球団の合同企画の先陣を野村とともに切った清宮は「こういう人たちに支えてもらっているんだなと改めて感じるので、(規制緩和となれば)気持ちの入り方が変わってくると思う。楽しかった」。清宮が笑顔を見せた約1時間半後、新庄監督は名護に到着。日本一を目指す今季の決意をファンへ発信した。

新庄監督 ペナントレースは俺の頭の中では50試合しかない。もうスタートダッシュ。最初の50試合はマジでもう死ぬ気で。試合勘を開幕戦でトップに持っていけるように紅白戦を明後日(2月1日)から、どこのチームよりも先にやる。

スタートダッシュを目指す理由は、現役ラストイヤーの06年シーズンにある。チームが低迷していたシーズン序盤に「ファンの力を借りて、何とか(勢いに)乗せてくれという気持ちで」と、4月に引退宣言したことを振り返る。ラスト新庄を見ようと球場に集まったファンの声援も力に変えたチームは、最終的に日本一まで駆け上がった。「それを今年は最初から50試合、みんなが優勝だけを目指すという気持ちで」と、気合が入る。

徐々に緩和される規制の中で始まる春季キャンプ。「僕だけの判断じゃできないけど、もうマスクいらないんじゃね? ウチ発信で取ってもいいくらい。コロナの状況は、その時になったら対応するし、選手も気にしていないだろうしね。フロントも、あまりコロナ、コロナとならないようになってほしい」と、ファンとともに日本一を目指す“日常”の復活を見据えた。

○…タピックスタジアム名護に「BIGBOSS STAGE」改め「SHINJO STAGE」がスタンバイされた。新庄監督が昨春キャンプで巨人キャンプ名物「原タワー」に感銘を受け、球団が名護市内にある朝日興業企画に製作を依頼。高さ3・6メートル、横幅5メートルの代物は、わずか4日間で完成して名物となった。今季はBIGBOSSを封印するため、デザインを「SHINJO」に変更。この1年間は名護や2軍キャンプ地の国頭で行われたイベントにも活用された日本ハムキャンプの新ランドマークが、今春も新庄監督の“定位置”となる。

○…野村がファンと交流して士気を高めた。沖縄・名護で清宮とともにイベントに参加。自身の打球をファンが捕球するという企画だが、柵越えしてしまう場面もあった。「高い球を打とうとしたら風に乗っちゃって」。プロ2年目からコロナ禍に突入しただけにファンと交流する時間は新鮮だった。「成績が伴わないとこういう機会は増えていかないと思うので、野球も頑張っていきたい」と語った。

○…ドラフト1位矢沢宏太投手(22=日体大)が強肩を見せつけた。沖縄・名護で先乗り自主トレに参加。シートノックでは右翼から三塁へノーバウンド送球を披露した。「6、7割の力で投げた。もう少しいけます」。打撃練習では2日連続となる柵越えも1本。「(2月1日の)紅白戦前の最後のバッティングということで、いつもより低い打球を強く打つことを意識した」と実戦を見据え語った。