ヤクルト村上宗隆内野手がWBCへの調整のため、過去最速の対外試合を志願した。1日、沖縄・浦添市でキャンプイン。各球団、コロナ禍で禁止されていたファンサービスへの規制も緩和されたプロ野球界。2日に23歳の誕生日を迎える史上最年少3冠王は、今季初の対外試合となる12日の練習試合、DeNA戦(浦添=午後0時30分)に出場したいと高津臣吾監督(54)に直接伝えた。3月9日に初戦を迎えるWBCを強く意識した形だ。

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「バッティング行きまーーーす!」。気温22度。村上の元気はつらつな声が沖縄の空に響き渡る。千両役者の粋な演出にスタンドからは歓声と拍手。まさに球春到来の号令だった。

午前11時54分、ランチ特打の打席に立つ。初球だった。快音とともに右翼席へ柵越え。全85スイングで11本(右翼方向5本、バックスクリーン方向4本、左翼方向2本)のアーチを描き、キャンプ初日から派手に決めた。

それでも「僕の中ではまだまだ。納得いく部分は少ない」と厳しめ。「ちょっと振りすぎかな今日は。ちょっと落として徐々にやっていければ」と昨季はコロナ感染でキャンプに間に合わなかっただけに若干、張り切り過ぎた部分もある。

高ぶる理由の1つにWBCがある。過去最速の対外試合となる12日DeNA戦への出場を高津監督に志願。15日ロッテ戦(糸満)、16日楽天戦(浦添)に出場する可能性もある。侍ジャパンで4番を希望している若き主砲は「とにかく(WBC日本初戦の)3月9日に合わせられるようにやっていきたい」と早めの実戦で照準を合わせる。

この日は昨季より10~20グラム重い900グラムのバットを試した。「自分に合ったバットはまだまだどうなるか分からない。いろんなことを試しながらやりたい」と向上心は尽きない。

特打を間近で見た杉村打撃コーチは「仕上がってますね」と高評価。昨季、得点圏打率リーグ1位の3割5分というチャンスの強さについて「まさか打たないだろうという場面で逆転満塁ホームランを打ったりする。昔で言えばONのようなところに立ったんじゃない」と往年の大打者「王・長嶋」になぞらえ「今年は61本打ってほしいね」と期待した。

WBCから3月31日のペナントレース開幕へと続くハードスケジュールを完遂すべく、令和の3冠王は順調なスタートを切った。【三須一紀】

▽ヤクルト高津監督「今日、ムネ(村上)とも話をしました。本人もそこに合わせてゲームに出るように合わせてやっていくつもり。(スイングを見て)覚悟を持ってしっかり練習してきたように捉えました」

〇…キャプテン山田と中村のWBC組も12日DeNA戦の出場を志願した。高津監督は「(山田は)打席に立ちたいと言ってきたので守備は分からないですけど、順調にいけば何打席かは立たせる予定」と説明した。山田は打つ直前のタメをつくるため、昨季より足幅を狭めるフォームを試し「体重移動やタイミングの取り方がしっくりきた」と納得。12日の試合へ「打撃投手だけでは分からない。早く実戦はしたい」と語った。

〇…史上最年長43歳での開幕投手を目指す石川が、キャンプ初日に恒例のブルペン入りし、座った捕手へ20球を投じた。3年ぶり10度目の開幕投手へ「一生懸命腕を振っていきたい」と意気込んだ。あと17勝で200勝利となるが「一刻も早く200勝したい。その目標があるから気持ちも体も動く」と本音を明かした。

〇…ドラフト1位吉村貢司郎投手(25=東芝)がブルペン入りし、座った捕手に30球を投じた。即戦力、先発ローテ入りを期待されているが「その気持ちでずっとやっている。開幕に向けてキャンプを過ごしたい」と語った。間近で石川、石山がブルペン入りしているのを見て「練習風景を見ていろいろ学びたい」と語った。

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