改革進行中。広島新井貴浩監督(46)が1日、宮崎・日南でキャンプインし、初日から独自のアイデアを披露した。軽めの調整からスタートすることが多い外国人選手には午前中のメニューをフル参加させ、20歳の二俣翔一内野手に遊撃挑戦を指示。昨秋キャンプから継続中の新井改革は、春季キャンプでも止まらない。

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現役時代と同じ25番を背負った新井監督は1歩引いて、チーム全体を見つめていた。キャンプ初日、選手指導はコーチに一任。駐米スカウトやトレーナー、裏方らと情報交換しながら、選手たちの動きを確認した。静かな幕開けも、新井流が見られた船出となった。

「まずはチーム内の競争からスタートします。もちろん、仲良く家族的にやるのは大切ですけど、グラウンドの中では競争して、激しいものを見せてほしい」

チームを“家族”と表現するが、春季キャンプでスイッチが変わった。マクブルームとマット・デビッドソン内野手(31=アスレチックス3A)の両助っ人にも午前中のメニューをフル参加させた。米国と比べ調整時期や練習強度が違うため、キャンプ序盤は別メニューとなることが多い。新井監督も事前に「オーバーワークだなと思ったら(スピードも)自分でセーブしていいし、外れてもらっていい」とフォローした上で、広島流を体で知り、チームになじむために参加させた。

20歳の二俣には遊撃挑戦を指示した。指揮官が期待の若手に挙げる逸材。昨季に捕手から三塁に本格転向したばかりだが、高校時代には遊撃の経験がある。「可能性は無限大だから」。秋季キャンプを経て、スタッフミーティングで方針が決定。若手の可能性を最大限に引き出すことで、チームの可能性も広がる。

新体制が始動した昨秋キャンプから改革は進む。選手の長所を伸ばす指導や選手に寄り添う指導を徹底。故障者の情報については可能な限り開示し、敗戦後でもスタンドにあいさつするなど、ファンサービスにまで及ぶ。この日も即席のサイン会を開いた。初日を終えた新井監督は「100点でしょう」と笑顔。広島キャンプは、次々と打ち出される新井色に染まっている。【前原淳】

▽新井監督一問一答

-5年ぶりのユニホーム

新井監督 背番号が変わってないというもあると思うんですけど、まったく違和感がないです。こうしてユニホームを着て、選手全員と戦える幸せというのを感じています。

-初日を終えて

新井監督 みんな、いい動きをしているなと思いました。ブルペンに行きましたけど、しっかり各自で準備してきたんだなと感じました。投手も野手も。

-新外国人デビッドソンがランチ特打に参加

新井監督 いい打ち方をしているんじゃないですか。まだ分からないですけど、パワーもあるし、これから。どんどん投手の球を見たり、打席に入ってもらったりして、慣れていってもらいたいです。

-若手のアピールが続けば、新井監督自らノックバットを握ることも

新井監督 んー、まだ早いかな。あまりやったことがないので、おいおい。まだ初日ですし。自分がノックを打つと、彼らも張り切って、ちょっと何か(筋肉系が)プチってなったら嫌なので。だいたい第2クールあたりぐらいからはだんだん体が(なじむ)。そういう折を見て(やりたい)。

○…1軍キャンプ参加最年少の2年目田村が、新井監督から絶賛された。初日を終えた指揮官は「みんな良かった」と評価した上で、19歳の名を挙げた。「オフにしっかりと練習してきたというのも分かりましたし、しっかりと自分の中で考えて、こうしてやろうっていうのが見えた」。昨秋キャンプから変わりを見せた姿に目を細めた。

○…背番号が5に変わった西川が、初日の声出し役を担った。首脳陣や全選手による円陣の中心で「今年は悔しい思いをしたくありません。全員が優勝、日本一を描きながら、家族一丸で戦えば絶対に強いチームになると思います。今年はマジで、いっちょ、やったりましょう!」と士気を上げた。昨季まではあまり表に立つタイプではなかったが「一発目なので、しっかり言いたいことを言わせてもらいました」と、主力の自覚をにじませた。