大きな背中でプロ魂を示す。ロッテに3年ぶり復帰の沢村拓一投手(34=レッドソックス)が5日、沖縄・石垣島でのキャンプに合流した。午前6時ごろからのトレーニング、キャッチボール、選手との接し方、髪形含め、初日から“沢村流”。すべては、野球人生をみずから考えて構築していく信念があった。吉井理人監督(57)も称賛あり、笑いありで、手本となることを期待。戦力として、チームの大黒柱としても、新背番号「54」の背中は、たくましさを増して帰ってきた。

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夜明け前の室内練習場に沢村はいた。「僕は朝6時くらいからやって技術練習前にトレーニングを済ませたい。体が疲労したあとでは、あまり効率的ではないと思っている。朝やることによって1日の時間を有効的にも使える。米国に行く前からそうだったし、スタンスは変えるつもりはないです」。チームの朝食時間前に宿舎を出発。前夜の夕食で朝食準備も自身で行う。朝8時発のチームバスが到着した時には、汗だく姿になっていた。

球場には長髪を後ろで束ねて登場。練習前の円陣で紹介され、仲間からの拍手で迎えられた。積極的に話しかけ、「和気あいあいとする中でも厳しさもあったりしながら、練習出来た。全員の名前を覚えるのは時間がかかっちゃうかも」。米国でも日本のプロ野球情報は常にチェックしていたことも明かした。

周囲に親しみを込めて「友達いない人~」と呼びかけたキャッチボール。それに反応する選手はいなく、中大先輩の美馬とペアを組んだが、数分後には他選手の倍以上の約80メートルに距離を伸ばした。「僕の中では普通のキャッチボール」。佐々木朗に帽子のつばを触って好プレーをたたえられた投内連係でも、グラブをつけたまま両手を上げてジャンプして返答し、場を和ませた。

チームに何を還元したいのか。それは結果以前のこと。「自分1人が入って劇的に変わることはない」と謙遜も、「イエスマンはいらない。ハイハイ言って目上や、周りの目を気にしてやることはやめようと。自分の人生だし、野球人生。だからこそ自分で考えないといけない。自分の経験したことしか身にならない」。基本信念にも沢村流が宿る。

吉井監督は「デカイですね。体が。ウエートルームの部屋が狭く感じた。髪形も格好良い」とした一方、「朝早く来てトレーニングしていたので、そういうのを若い選手が見てどう感じるかは、すごい楽しみ」。米国帰りの“助っ人”の存在感は、18年ぶりリーグ制覇への起爆剤となりそうだ。【鎌田直秀】

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