ソフトバンク大関友久投手(25)が「物理学」を武器に開幕ローテーションをつかむ。

宮崎春季キャンプ第1クール最終日の5日。初登板したフリー打撃で今宮、ホーキンスに44球を投じ、安打性を1本に抑えた。オフに「物理学の基本」に関する本を購入。合理的な投球のメカニズムを研究し、球速アップに必要なトレーニングを積んできた。この時期早くも150キロ超をマークするなど進化発揮の春だ。

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大関は「7割~8割くらいですかね」と抑え気味だったが、磨いてきた直球の威力を存分に発揮した。今年初めて打者と対戦したフリー打撃登板。今宮は安打性の打球を1本に抑え、力ないファウルを何度も奪った。新外国人のホーキンスは高めの直球で空振りを取るなど、パワー自慢の助っ人を力で押した。「質は悪くない。まずまずの反応だった」と振り返った。

先発ローテーション定着を目指し、オフは球速アップをテーマに取り組んできた。ペイペイドームで自主トレに励んでいる時、ツイッター社オーナーのイーロン・マスク氏の言葉が目に入った。「ちょっとしたアレンジでは変わらない。根本原理を理解しないと」という趣旨の内容だった。

それを見た大関はすぐさま、近くの商業施設「マークイズももち」内にある書店に走った。「物理学の基本」に関する本を購入。以来、投球につながるメカニズムを学びながら、球速アップにつながるトレーニングに励んでいる。「基本的な物理学から自分でトレーニングを選んで、そういうプログラムを自分の中で作って、それがうまくはまっているのかなと思います。得意な部分とか、使えていない部分を明確にして、どこを上げたらスピードが上がるかというのをいろいろ考えて試して、良くなってきたなという感じです」。

成果も出始め、今キャンプの第1クール中には早くも150キロ超えを計測したという。「手応えは感じています。たまたま調子が良くてバーンと出たわけじゃなくて、予定通りと言ったらおかしいですけど、プランを組んできて、これくらいというのを目指して、意図的に出せたものだった。そこはひとつ、自分のものにできるかなと思います」。最速152キロ左腕は、物理学の知識を取り入れた新投法に手応え十分。宮崎でアピールを続け、先発定着へ突き進む。【山本大地】

◆大関友久(おおぜき・ともひさ)1997年(平9)12月14日生まれ、茨城県出身。土浦湖北から仙台大を経て、19年育成ドラフト2位でソフトバンク入り。21年5月に支配下登録され、6月4日の阪神戦で初登板。昨季は7勝を挙げて球宴にも出場。8月に左精巣の腫瘍摘出手術を受けたが、シーズン中に復帰を果たした。184センチ、94キロ。左投げ左打ち。

○…リチャードが豪快なバックスクリーン弾を放った。打撃投手を務めた左腕笠谷の直球を中堅左に運んだ。「(球に)押され負けしているような無回転の打球でした。まだまだ投手の球に慣れていないのかな」と振り返りつつ、中堅方向を意識して出した成果に「打撃の目的がセンター返し。目的はできたかな」と納得の表情を浮かべた。第1クールは連日アーリーワークに参加。期待を寄せる王球団会長からは「『今日はいいスイングしている』と言われた。毎日できるようにしたい」とギアを上げていくつもりだ。

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