底知れぬ魅惑のルーキーが“ブン振り”で爪痕を残した。日本ハムの育成ドラフト3位山口アタル外野手(23=テキサス大タイラー校)が5日、沖縄・名護キャンプで行われた紅白戦で“プロ初打席初安打”を放った。5回の守備から途中出場し、6回の第1打席で左前打をマークした。カナダ生まれで身体能力抜群のポテンシャルモンスターが、プロ初実戦でインパクトを残した。

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山口は心に決めていた。プロ入り後、最初の打席はマン振りではなく「“ブン振り”でいきたい」。右腕の松岡との対戦で、打てるボールを待った。初球は外角へ逃げていくボール球を我慢して見送った。そして、1ボールからの2球目。140キロのボールが真ん中付近へ飛び込んできた。「キターッと思ったら、ちょっと上たたきすぎたって感じ」。

イメージは場外弾? でも、強烈な打球は三遊間を抜けた。キャンプは2軍スタート。1日に行われた紅白戦は出場できなかったが、待ちに待った初実戦で“プロ初打席初スイングで初安打”だ。

山口 イメージ通り。紅白戦で試合に出られるイメージトレーニングしていて。やっとヒット打てて、めっちゃうれしかった。

屈託のない笑顔で、記念すべき打席を振り返った。プレッシャーから少し開放されていた。「ちょっと今日の朝、緊張してました(笑い)。さすがに。ちょっと球場(タピックスタジアム名護に)来て、結構大勢の方がいたので、ちょっと緊張してました」。日曜日で多くのファンが詰めかけた1軍キャンプ地。日本ハムのユニホームでの試合も含め、何もかもが初体験の連続。それでも、日本での成功を求めてやってきたポテンシャルモンスターには不思議な力が宿っていた。

山口 打席に入ったら全部、緊張感が消えた。ここはもう思い切り“ブン振り”でいこうと思っていた。

無類の勝負強さを発揮してインパクトを残した。新庄監督も「やっぱり強いゴロを打てる打者は使っていきたい。あれを続けていってくれたら、結果が出てくる。すぐ(背番号は)2桁になるんじゃない?」と、一目置いた。外野守備ではフェンス際の飛球を好捕する場面もあったが、まだまだこれから。「守備を固めるのが1つ目。そしてもう1つ、速い球、真っすぐをちゃんと仕留めたい」と、山口は何事も“ブン振り”で早期支配下を目指していく。【木下大輔】

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