何百球と打ち終え、ボールを片付け、西武山川穂高内野手(31)がイスに腰掛けた。2月6日、午後6時13分。全体練習開始から8時間超、雨空だがすでに日没後だった。

「もちろん(もっと)打ちたいです、本当は。ただ初日はこんなもんで」

帰りがあまりに遅くなると、ランドリー回収にも間に合わない。ただ、時間の許す限り、自主トレをともにした西川愛也外野手(23)と打ち込む。時には“もぐもぐタイム”も入れながら打つ。室内練習場に快音と、屋根に打ち付ける雨音が響いた。

「雨が降ってたので、バッティングは分かんないっす。感触いいと思いますけどね。外で打ってみて、の部分は打撃は正直ありますけど、ただ無事キャンプインできたことは素直にうれしいです。待ちわびていたので」

この日、12球団の大トリで、宮崎・南郷でキャンプイン。山川は源田とともに、出場が決まっているWBCの侍ジャパン合宿が控え、南郷キャンプは2クールのみの参加予定だ。「WBCの球はまだ打っていないので。打感的にどうなんだろう」。ちょっと気になりながらも、今できる調整に専念している。

打つだけでない。大勢のファンがいる場所に、自ら近寄っていった。少年ファンにも優しく話し掛ける。この時を待っていた。

「ちょっとつまんなかったんで、この3年。本当に楽しくなかったですね。応援なかったりとか。どうしても、優勝してる時のファンがいっぱい球場にいて、応援歌が流れ、みんなで大合唱して、チャンスの時で盛り上がるあの状況っていうのは頭にあるので。あれが今年戻ってきてくれたらすごいうれしいなと思いますし、モチベーションがかなり高くなるので。結果もいい結果につながるのかなとは正直思いますね」

思いを報道陣に伝えてから、もちろん直接的にも-。暗くなってもなお、傘をさして待っていた約20人のファンに、丁寧にサインを書いていた。【金子真仁】

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