「どっちでもいい精神」で、国際舞台でも勝負強さを発揮する。WBC日本代表のヤクルト山田哲人内野手(30)が7日、沖縄・浦添キャンプ第2クール最終日、シートノックやフリー打撃で精力的に汗を流した。山田は15年と19年のプレミア12、17年WBC、21年東京五輪と、出場した主要国際3大会すべてで本塁打を放ってきた唯一の日本選手。世界一を目指す今大会も不変のスタンスで、価値ある1発を放つ。

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山田はフリー打撃で40スイング中、13本で安打性の当たりを放った。二塁手で入ったシートノックでも、試合を想定した中継プレーを何度も確認。WBCのために調整を前倒ししながらも第2クールまで試行錯誤を重ね、打撃フォームの改善にも取り組んできた。打撃の結果を伝え聞き「今日は体が疲れていて一番張っていたので何とも言えない」と語るものの、表情は柔らかかった。

国際大会にめっぽう強い。プレミア12、WBC、五輪と主要国際3大会で本塁打を放ってきた強心臓の持ち主。その神髄は何なのか。「国際舞台に強いとは自分では思ってないんですよ」と淡々と柔らかい表情のまま言った。入試や面接の本番でも、緊張して普段のパフォーマンスを発揮できない人は多い。山田のメンタルは特別なのか。「僕もそうですよ」と首を振り「だから緊張を無理やり取るのではなく、緊張の中でどれだけできるかを考える」と逆転の発想を明かした。

ポイントは、自分を客観的に捉えることだという。「自分ごとなのに人ごとのように見たりする。何もかもがうまくいくわけじゃないですから」。成功も失敗も、緊張を伴う本番も、常に客観視することで自分を見失うことを防いできた。「物事を深く考えないんですよ。基本的に『どっちでもいいんじゃない』って。(ある考えに)入り込まないし、決めつけもしない。それでいいんじゃないって」。

だからこそ、侍ジャパンでの打順やポジションも気にしない。「全然どこでも。スタメンでもベンチでもしっかり準備します」。力みすぎずに「どっちでもいい精神」で大勝負へ。一般社会でも応用できそうな山田の考えが、再び世界一へと導くアーチを生み出すに違いない。【三須一紀】

◆山田の国際大会 主要国際3大会では15年プレミア12で2本、17年WBCで2本、19年プレミア12、21年東京五輪で各1本の計6本塁打を放っている。主要3大会すべてで本塁打を打った日本人選手は山田と坂本勇人だけ。あと1本打てば主要3大会の通算7本は最多の福留孝介(アマ時代の96年アトランタ五輪で2本、プロ入り後は04年アテネ五輪3本、06年WBC2本)に並ぶ。

○…捕手の内山がシート打撃で左翼の守備位置に入った。高津監督は狙いについて「将来打てる正捕手にしたい。今、1軍で試合に出るチャンスがもしあるならと思い、外野の練習をさせた」と語った。昨年12月に伝え聞いた内山は「試合に出る選択肢として、僕としてはすごくうれしいです」と語った。

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