上々の“野手デビュー”だ。日本ハムの新二刀流、ドラフト1位矢沢宏太投手(22=日体大)が12日、対外試合初出場で初打席初安打初得点初盗塁。開幕カードの相手となる楽天戦(沖縄・金武)で、成長ぶりを証明した。
前日の反省を放置せず、きっちり生かす秘訣(ひけつ)は、日々学びを記す「野球ノート」にあり。試合は大敗も、才能あふれる期待のルーキーは着実に階段を上がっている。
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派手さは、ない。しぶとく地味に、内野安打をもぎ取った。投打二刀流だけでなく、走塁でも一流を目指すルーキー矢沢が、対外試合初出場で躍動した。6回に代走で途中出場すると、8回の第1打席で内角寄りの変化球をコンパクトに振り抜いた。バットを折りながらも、勢いを失った打球に一塁手は触れることが出来ず、一、二塁間深くへ転がる内野安打に。「ヒットなんですか? エラーだと思ってました」と目を丸くし「ラッキーでした」と声を弾ませた。
“矢沢の成長劇場”は、まだ続く。1死後、カウント2-1からの4球目で仕掛けた。サインは「いつでも盗塁を仕掛けていい」というグリーンライト。強肩の楽天太田から二塁を陥れ初盗塁を決めると、安打で三進し、内野ゴロで対外試合初のホームを踏んだ。
失敗を無駄にしない。11日の紅白戦では走塁死にけん制死、盗塁死と、走塁絡みで3度のミス。前日より2足分リード幅を広げ「力まないようリラックスしてスタート出来た」。これには、現役時代に好走塁で鳴らした森本外野守備走塁コーチも「いい盗塁だったでしょ?」と、うれしそうで「早くスタートが切れるわけじゃないけど、スピードに乗るのが速い。『ここは行けない』と自分で判断しストップすることは、新人ではなかなか難しい」と、記録に表れない部分も評価した。
俊足がクローズアップされるが、盗塁は大学日本代表で記録した昨年7月の国際大会以来。本格的な走塁練習はプロ入りからスタートした。日々の成長を支えるのは、その日の学びを記入する「野球ノート」にある。経験を整理することで不安が消え「リラックス出来る」と矢沢。この日も試合前にスタートの練習を再確認。「課題をすぐにつぶせば、新しい課題が出てくる。その繰り返し。少しずつ野手として成長出来ていると思う」。“矢沢流”の完成へ、地道な努力は怠らない。【中島宙恵】
◆矢沢の今季実戦 キャンプ初日の1日に行われた紅白戦に「2番DH」で先発出場。2打数無安打で6回から右翼の守備に就くと、試合中に横についた森本コーチから徹底指導を受けた。5日の紅白戦も「2番DH」で先発。4打数無安打だったが、初回に無死三塁から右犠飛でプロ初打点をマークした。11日の紅白戦では「1番・右翼」で先発。初回、今オフにソフトバンクから新加入した田中正からプロ初安打。4打数1安打だった。特別ルールとして代走で出塁した5回2死一塁では二盗に失敗した。



