中野に負けん! 阪神渡辺諒内野手(27)が古巣相手に猛アピールを見せた。

日本ハムとのオープン戦に「6番二塁」で出場し、2本の二塁打を放った。侍ジャパンでWBC出場中の中野が二塁での開幕スタメンが確実だが、1歩も引く気はない。これで実戦は打率3割4分3厘と好調をキープ。強力なライバルに、プレッシャーをかける。

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「直球破壊王子」の異名通りに快音を響かせた。4回の第2打席。渡辺諒が元同僚吉田の直球を捉えた。左翼フェンス直撃の二塁打。「真っすぐに合わせて仕留められた」。直球だけではない。5回にはフォークを捉えて再び左翼への二塁打。昨年まで在籍した古巣に、マルチ安打を浴びせ、自慢の長打力を見せつけた。

二塁の開幕スタメンは遊撃から転向した中野が確実。WBCでは前日10日の韓国戦で源田の負傷により緊急出場し、2安打を放つなど攻守に活躍した。渡辺諒もテレビで観戦し「しっかり僕も負けないように」と刺激を受けた。

中野がチームを離れている間、二塁で先発の機会が巡ってくる。ここまで実戦通算打率は35打数で3割4分3厘と、持ち味を発揮。岡田監督も「一番コンスタントに打ってるな。右バッターは戦力になるからな」と目を細めた。長打力が売りの右打ち内野手。俊足巧打の中野とは、タイプの違う新戦力の台頭に、うれしい悩みは増えそうだ。

思い切りの良さは打球方向に表れていた。前日10日の日本ハム戦では2打数無安打。「始動を早く、タイミングを取って打ちにいくのを意識した」と修正して臨んだ一戦。この日はすべて引っ張り、左翼方向に飛ばした。「流して打ちにいくタイプでもない。大きくタイミングを取って、大きく振って引っ張っていくのが僕の持ち味。それができた」と納得の打撃だった。

敵地として「圧を感じて嫌だった」という甲子園も、今やホーム。「本当に声援が力になる。すごく今は力に感じている」と、聖地の熱気が力になっている。「やっぱり、はじめから出たい気持ちはある。そのためにも打撃だったり守備をもっとレベルアップして信用される選手になっていかなければいけない」。開幕まで約3週間。中野という強力ライバルに、プレッシャーをかける。【波部俊之介】

○…才木が12日の巨人戦で先発する。前回登板では侍ジャパンの大谷からフォークを被弾。「大谷さんだからしょうがない、でスパッて切ったら成長はない。レベルは全然違いますけど、追いつくために今必要なのは何かすごい実感した」と糧にする。DeNAとの開幕3戦目での先発が有力の右腕が、調整の最終局面に入る。またブライアン・ケラー投手(28=レッドソックス3A)も5日の教育リーグ・中日戦以来に登板する予定。「ストライク先行で勝ちにつながる投球をしたい」と、初の甲子園マウンドに意気込んだ。

○…新助っ人のジェレミー・ビーズリー投手(27=パイレーツ3A)が復帰へ前進した。春季キャンプ終盤から右膝の張りを訴え、離脱。別メニュー調整が続く中、傾斜を使ったキャッチボールを行った。「順調に回復できている。1日でも早くマウンドに戻れるように、しっかり調整したい」。岡田監督も「来週鳴尾浜でピッチングするよ」と明かし、本格的な投球練習を再開する見込みだ。

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