中日が総力で、ロドリゲス・ショックを拭い去った。逆転され2-3で迎えた9回に打線の意地がさく裂。新人で開幕スタメン二塁で出塁したドラフト7位福永が三失で先頭出塁すると途中出場の溝脇が左前打で続いた。1死二、三塁にチャンスが広がると、最多安打の初タイトルでブレークした新リードオフマン岡林の投野選で同点。1死満塁で高橋周が巨人高梨の144キロのシュートを左翼線に返して、勝ち越しの2点を奪い取った。

「素直にうれしい。選手たちがよく粘って逆転してくれた。(高橋)周平は今年の打線のキーポイント。内容は良くなったが、1本を自信にして欲しい」。立浪監督は、開幕戦就任初勝利に汗を拭った。今季は最下位からの反攻へ、新助っ人アキーノらの戦力を補強。打線の軸に期待した、現役時の背番号を継承する高橋周の一振りに目を細めた。

開幕直前の3月28日に、昨季最優秀中継ぎに輝いたキューバ人セットアッパー、ロドリゲスが失踪した。キューバ代表としてWBCに出場後、母国に帰国。予定していた29日に再来日せず、球団からの連絡にも音信不通になった。現地報道では亡命の情報も。アクシデントを振り払って、開幕を迎えた指揮官もナインは前を向いた。

5年ぶり2度目の開幕投手を務める小笠原は8回途中まで145球を投げ抜いた。2-1の1点リードで迎えた8回2死一、二塁で中田翔に逆転三塁打。瞳をうるませマウンドを降りた左腕は、再逆転勝利の瞬間、隠さず喜びの涙を流した。「チームが勝てて良かった。最高のスタートが切れた」と、白星がつかなくても左腕は笑顔を見せた。

WBC後にキューバから再来日したマルティネスが試合を締めた。「見事に逆転してくれた。何も言うことはない」と立浪監督。一丸での勝利が最下位からの反攻へののろしになった。【伊東大介】

▼1球勝利=勝野(中日) 31日の巨人戦で記録。21年10月1日今野(ヤクルト)以来でプロ野球46人、47度目。開幕戦の1球勝利は19年3月29日酒居(ロッテ)以来2人目で、セ・リーグでは初めて。

◆中日福永(新人で開幕スタメン出場し、6回に投前へのプロ初安打)「1本出て良かったです。当たりは良くなかったですが、僕らしい当たりかなと…」