阪神小幡竜平内野手(22)が指揮官の起用に応えた。“初ずくめ”となった自身初の「8番遊撃」開幕スタメンで、走攻守に躍動。「試合始まるまですごく緊張していた」と振り返る中、堂々としたプレーで黄色く染まった球場を何度もわかせた。

2回の第1打席。梅野の適時打で先制した直後、無死満塁の場面。今季「初打席」を迎えると、134キロ変化球をはじき返して「初安打初打点」を記録した。4回には12球粘った末にこの日2本目の安打。8回の第4打席では2点リードの2死三塁から貴重な追加点となる左翼前打で「初猛打賞」。直後には二塁への「初盗塁」も記録した。

岡田監督は遊撃手に対してレベルの高い守備力を求める中、守備でも4回に佐野の安打性のライナーをジャンピングキャッチで好捕。攻守で期待に応え「いい流れで(シーズンに)入ったねえ。今までの分くらいヒット打ったんちゃうか」と冗談交じりに活躍を喜んだ。

木浪との激しい遊撃争いを制し、プロ5年目でつかんだ開幕定位置。当時から変わらない意志を持ち続け、この日に至った。2年前、1軍経験が浅かった21年3月、鳴尾浜で遊撃へのこだわりを語っていた。「やっぱりショートが内野を引っ張っていかないといけない。ピッチャーに声掛けだったりコミュニケーションを増やしたい。プレーの幅も準備力も上がっていく。そこは意識的にやっている」。この日も8回にK・ケラーが安打を浴びると、即座に声をかけにいった小幡。揺るがない思いが実を結んだ。

9回には最後の遊飛もキャッチし試合を締めくくった。「まずは1年間しっかり1軍で戦い抜くってことを意識して。成し遂げたことがないので。しっかり『レギュラー』って言われるように頑張りたい」。最高の結果にも浮かれず、明日に向かう。【波部俊之介】

■梅野先制打

阪神梅野がチーム今季初得点となる適時打を放った。「7番捕手」でスタメン入り。2回に先頭の4番大山が中前打、5番佐藤輝が左翼線への二塁打、6番森下が三塁手の失策で出塁と無死満塁の絶好のチャンスで打席が回った。カウント1-2と追い込まれながらも、頭の中は冷静。131キロのチェンジアップを強振。左前に運び、欲しかった先制点を呼び込んだ。背番号2もガッツポーズで喜びを爆発。「なんとか事を起こしたかったですし、コンパクトに打つことができた。先制することができてよかった」と胸をなで下ろした。

今季は岡田監督から正捕手を託された。その期待に応える形で打撃と守備で活躍。初白星に貢献した。青柳、湯浅とお立ち台に立ち、笑顔。「やってやるぞって気持ちで迎えているので、応援よろしくお願いします!」とファンと喜びを分かち合った。

■中野、好守で流れ呼んだ

WBCで世界一に貢献した中野が、二塁の守備で流れを呼び込んだ。初回の1死走者なし。2番林が二遊間へ打球をはじき返すも、逆シングルで捕球し、そのままジャンピングスロー。正確な送球でアウトにした。今季から守る二塁の守備で早速の美技を披露し「セカンドとして初めての中で、1発目のプレーでああいうプレーが出たのは大きかった」。盗塁も記録し、持ち前の足と守備でわかせた。

■ノイジー、マルチ安打

新外国人ノイジーがマルチ安打を記録した。5回の第3打席。無死一塁から151キロ直球を詰まりながらも左中間へ運んだ。7回には1死二塁の好機で中堅前へ。本塁を狙った走者近本が間一髪アウトとなったが、勝負強い打撃を見せた。「まずはチームが勝てたことが本当にうれしい。この流れに乗って明日もチームの勝利を優先してプレーしていきたい」と喜んだ。

■板山、右翼で好捕

板山が美技を披露した。6回の守備から森下に代わって、「9番右翼」で途中出場。7回1死でDeNA関根の打席。右翼フェンスギリギリの大飛球を華麗にスライディングキャッチ。3番手浜地を助けるビッグプレーで流れを渡さなかった。初回は二塁手中野が逆シングルの打球を送球。4回には遊撃手の小幡のジャンピングキャッチ。昨年まで拙守に泣いたが、ファインプレー祭りを展開した。