日本ハム清宮幸太郎内野手(23)が、プロ初のサヨナラ打で新本拠地に歴史的な1勝を刻んだ。

延長10回無死二塁から、緩い変化球を右前へ運び、劇的な幕切れの主役になった。新庄剛志監督(51)も大興奮の手に汗握る展開に、3万人超で膨れ上がったエスコンフィールドは大盛り上がりとなった。

   ◇   ◇   ◇

打席の清宮は、自分でも驚くほど冷静だった。3-3の同点で迎えた延長10回無死二塁。「レフト側に変なフライだけは打たないように。めちゃめちゃ(頭に)よぎった」。遅れ気味だったバットの軌道を意識。楽天の7番手、宮森の変化球を右前に落とした。

新球場のボルテージは開業以来、最高潮になった。追い付き、勝ち越し、そして追い付かれ…。手に汗握るシーソーゲームを制した新庄監督は「勝ちが長かった。2カ月くらいかかった気持ち。『救心』を6ダース、オーダーしようかな」と、ホッとひと息。土曜日の夕方をドラマチックに演出した主役の背番号21は「たくさんの人たちに勝ちを見せたかった。みんなの気持ちが最後、僕に乗り移りました」と、プロ初のサヨナラ打の余韻に浸った。

高校通算は、実に111本塁打。プロ入り当初から、新時代のクリーンアップとして期待されてきた。今年2月の春季キャンプからは、一貫して5番に君臨する。この日は7回2死満塁でも、右手1本で投手強襲の適時打を放ち、5打数2安打2打点。中軸の威圧感や雰囲気が、全身から漂うようになってきた。新庄監督が「1年間、褒めることはない。褒めたら、またぶくぶく、ぶくぶく太りそうだから」と辛口なのも、それだけ清宮への期待値が高いからだ。

この日、花巻東の佐々木麟太郎内野手(3年)が、清宮を超える高校通算117本塁打を記録したことが判明した。「僕も負けてられない」と気を引き締めたヒーローは、エスコンフィールド初のお立ち台で「最高に特別な場所になった。みんなと一緒に優勝がしたいので、ぜひ、また、ここに来て、僕たちにパワーを下さい」と、3万人超のファンに熱い声援をお願いした。

開幕2試合目で動き出した、日本ハムの新球場元年。期待の清宮の一打で刻んだ歴史的な白星は「今日の勝利はでかい。“たかが1勝”ではない」と、新庄監督も自信をつかんだ勝利になった。【中島宙恵】

▽日本ハム宮西(6回に2番手で登板し1回1安打1死球無失点。昨年8月6日以来238日ぶり公式戦マウンド)「やっぱり公式戦は思うように体が動かなかった。でも楽しかった。いろんな思いが重なった。ま、変わらずにやっていきたい」

【試合詳細】日本ハム、エスコンフィールド初勝利!清宮幸太郎がサヨナラ打