今秋のドラフト候補に挙がる平成国際大の最速155キロ右腕、冨士隼斗投手(4年=大宮東)がリーグ戦第2節に先発し、完投したが8安打5失点と立ち上がりの失点に泣いた。

立ち上がりから制球に苦しんだ。「どうしても抑えようという気持ちが前にいっていて、どうしても投げ急いで、打者を見られずに投げてしまった」と、力んでは決め球のフォークが抜け、2回までに3四球、4本の長短打を浴び4失点した。

2回が終わりベンチに戻ると、大島義晴監督(53)に「力を抜いて、まずは変化球でカウントを取れ」と声をかけられ、我に返った。「1、2回はスライダーも、一生懸命曲げようとする意識が強かった。3回からは力が抜けたので、リリースの瞬間だけに力を入れて投げられました」。3回から5回までは3者凡退に。8回にはカウントをとりにいったスライダーでソロ本塁打を浴び8安打5失点も、勝負どころでは力強い真っすぐとスライダーで空振りを奪い、三振は13。この日の最速はスカウトのガン表示で150キロだった。

8球団12人のスカウトが視察。西武の潮崎編成グループディレクターは「開幕戦ということで気負いすぎ。スピードも出るし、メカニックがしっかりしている投手として魅力がある。もっと伸びる素材」と話し、巨人柏田スカウトも「最初だから気合が入り過ぎたのかな。真っすぐも強いし、変化球のキレもいい。出力の高さを修正すれば、こんなもんじゃないでしょう。今後に期待しています」と評価した。

チームは開幕戦から2連敗。冨士は「あとは絶対に負けない、チームを勝たせる。自分がしっかりやっていきたいと思います」と、悔しさの中にも、しっかりと前を向いた。【保坂淑子】