明大は、6人の投手陣を起用して逃げ切りを狙ったが逆転負けを喫した。9回に2点を挙げ1点差まで詰め寄ったが、田中武宏監督(62)は「私の下手な采配で、迷惑をかけてしまった。選手たちは元気にやってくれたのに、申し訳ない」と話した。

プロ志望の左腕、石原勇輝投手(4年=広陵)が初先発。初回2死から、慶大・広瀬隆太内野手(4年=慶応)を、しなやかな腕の振りから自己最速149キロ直球で見逃し三振。4回までパーフェクトに抑え、6回を被安打4の4奪三振、無失点と7球団のスカウトの前で試合をつくった。

打撃でも、2打数2安打1打点と投打で活躍。「できすぎかなと思います。持ち味の直球が走っていた」と話した。

広島の苑田聡彦スカウト統括部長は「オープン戦の登板も見てきたが、今日が一番よかった。球持ちがよく、直球を両サイドにコントロールよく投げ分けられていた」と評価した。

石原は昨年までは中継ぎとして通算17試合に登板。細かなことで一喜一憂する性格が野球に影響していたが「いい意味で適当になれた。落ち着いて投げられるようになった」と精神的にも成長。今まで持っている能力をなかなか出せず、田中監督は「孫みたいに気になる投手で、『マウンドまでついていこうか』と言うくらい心配だった。球の質が明らかによくなり、心身ともに成長した。よく投げてくれた」と話した。

3連覇を狙う明大には、同じくドラフト候補の村田賢一投手(4年=春日部共栄)、蒔田稔投手(4年=九州学院)と先発の柱がいる。石原は「2人だけじゃないんだぞと証明できた。2人に肩を並べられる投手になりたいです」と話した。