DeNAが63年ぶりの完封ラッシュで、記録ずくめの4月のスタートダッシュを締めた。

三重出身の先発、東克樹投手(27)が100球未満での完封を意味する「マダックス」を達成。ルーキー時代の18年5月16日の阪神戦以来1810日ぶりの完封。リーグトップタイの3勝目で、両親、妻、娘、親戚、友達、先生への感謝を示した。チームは今季初の7連勝で、日本一に輝いた60年以来となる月間7完封を達成。4月に限れば96年4月の15勝を超える最多の16勝で、貯金も今季最多の9とした。

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ヒーローインタビューでマイクを握った東は、スタンドから見つめる身近な人たちの存在を明かしながら、完封の喜びを語った。「本日は両親や親戚、妻、娘、友人も含めて、たくさんの方が来てくれているので、その前で完封することができて、良かったです」。愛工大名電時代に3年間過ごし、思い出が詰まった地で最高の姿を披露した。

自身1810日ぶり2度目の完封を、球数97の「マダックス」で飾った。精密機械と称された制球力を武器に、メジャー通算355勝のレジェンド右腕に由来されるが、東も今季は4試合に先発し、通算28回0/3で四死球0。本家をほうふつとさせる制球力とテンポの良さで、リーグトップタイの3勝をマークする。

球団の歴史の扉もこじ開けた。東の完封によって、日本一に輝いた60年以来となる球団タイ記録のチーム月間7完封を達成。白星は4月に限れば96年の15勝を超える最多の16勝に更新した。プロ5年目だった三浦監督は「覚えてないですよ」と苦笑しながら「チームとして、スタメンも途中から出てる選手も全員がいい準備をしてくれたからこそだと思います」とたたえた。

試合後、勝利に沸くロッカールームでスマートフォンを確認した東は、1件のLINE(ライン)に目がとまった。「ヒーローインタビューの時に、家族、友人の後に、先生も付け加えてほしかったなぁ」。大池中学2年時の担任で、この日観戦に訪れた樋口和恵先生からだった。当時は同級生とのけんかを仲裁してくれるなど、親身に接してくれた。「僕も言いながら、言うのを忘れたなと」と頭をかいた。

実は登板前日の4月29日、樋口先生が応援に来ることを明かし、感謝の言葉とともに「先生のためにもいい日にしたいです」と誓ったはずなのに、言葉に出せなかったことを悔やんだ。「すごく喜んでもらえたので、この地で勝つことができて、良かったです」。快投が何よりの恩返しになった。【久保賢吾】

◆60年の大洋 6年連続最下位のチームを立て直すために三原監督が就任。先発、リリーフと59試合登板した秋山を中心に投手陣が活躍。前年4勝だった3年目の島田は8月11日阪神戦で完全試合を達成し、秋山に次ぐ19勝を挙げた。桑田が軸の打線はリーグ5位の411得点だったが、チーム防御率はリーグ1位の2・32。1点差勝利を34度も記録するなど、接戦をものにして初優勝。三原マジックと呼ばれた。

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