おらが町のヒーローが、大きな1歩を踏みしめた。最速154キロの楽天松井友飛(ともたか)投手(23)が、プロ初勝利を挙げた。ロッテ戦で今季初登板初先発。身長190センチの長身から投げ下ろす直球とカットボール、カーブなどを織り交ぜ、5回3安打無失点と好投。プロ2年目、通算2戦目で待望の1勝を手にした。人口7400人ほどの石川・穴水町(あなみずまち)出身。小さな町から生まれた大型右腕が、チームを2カード連続の勝ち越しに導いた。

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楽天松井友は今オフ、球界を代表する右腕に決意の弟子入り志願をした。チームの先輩の西口が自主トレを行っている縁から、学生時代からフォームを参考にするなど憧れていた中日の柳の自主トレに参加した。

克服したかった課題は、投球ごとに崩れる投球フォーム。21年最優秀防御率と最多奪三振の右腕に、再現性を高めるノウハウを学んだ。体幹や下半身の使い方を変え、制球が安定した。

参考にしてきた柳の得意球カーブで、初勝利への扉を開いた。1回2死一、三塁ではポランコを二ゴロに仕留め、5回2死二塁では藤原を空振り三振。要所で教えが生きた。「球筋や軌道はすごい意識はしていた。まだまだ遠く及ばないですけど、いつか超えられるようにと思っています」と力を込めた。

偶然にも、師匠も同じ日に1軍マウンドに上がっていた。いつかは直接対戦ができるように-。「そこはまあ…」と、照れくさそうに笑った。【湯本勝大】