日刊スポーツの名物編集委員、寺尾博和が幅広く語るコラム「寺尾で候」を随時お届けします。

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勇壮な姫路城をバックにした『平成中村座』が華々しく幕を開けた。歌舞伎界を背負うスターの中村勘九郎、七之助の共演。“白鷺城”にまつわる『天守物語』のラストシーンはサプライズで圧巻だった。

天才・泉鏡花が天守閣に住み継いだ、怪しく、美しい異界の住人と人間とのラブストーリーを独特の世界観で描き上げた名作。稽古から緊迫感に包まれ、美意識の高い演出で鏡花ワールドがよみがえった。

海を渡って羽ばたいたスターといえば連日報道される大谷翔平だが、そのパフォーマンスは衰え知らずだ。もはやだれもが二刀流に違和感を抱かない。改めて160キロ超の球速を生み出す要因を聞いてみた。

3日(日本時間4日)のカージナルス戦でMLB通算500奪三振を記録。大谷のフォームの進化について、阪急ブレーブスで通算284勝を記録したサブマリン山田久志は「踏み込みの強さ」と説いた。

「前はフォームもバタバタしていたけど、今はスーッと静かに左足を上げ、そこからグーッと踏み込んでいく。あそこまで左足の踏み込みがいい投げ方はなかなか出来ない。それに上体がついて、乗っかっていく。その推進力で自然とリリースが前にいくから、打者はより迫力を感じるのだろう」

山田は「前は投げて、投げて、自分の理想を見つけたものだが、今はビデオなどの機器によって理にかなったフォームを見つけることが可能になった」とした上で「大谷もだが、基本は下半身を使って投げることだ」と踏み込みに触れて語った。

「野茂だって“トルネード”というのは上半身をひねっているからで、結局は下半身を動かして投げている。菊池(雄星)もそう。よく上半身で投げると言われるメジャーの投手だが、勝てるピッチャーというのは、うまく下半身を使って投げている」

もう一点、大谷のフォームでWBCから指摘されるようになったのは、右腕の小さなテークバックで、日本でも見かけることが多くなった。腑(ふ)に落ちる解説に出会ったことがないから、これも山田にアンサーを求めてみた。

「かつて名投手と言われたピッチャーはあそこが小さい。カネやん(金田正一氏)だって、稲尾さん、江夏にしても、江川も。大きいなと思うのは堀内ぐらいかな。体が大きく、手足が長い投手は、テークバックからをコンパクトにしないとボールをさばきにくい」

ピッチャーは自身の体形の特長によって、投げ方の理想像が存在するということだろう。いずれにしても日本人スターの熱狂ぶりは収まりそうにない。(敬称略)