阪神岡田彰布監督(65)が、プロ野球史上25人目の600勝を3週間ぶりの首位タイ浮上で飾った。

DeNA戦の勝利を見届けるとコーチ陣と握手を交わし、ナインと笑顔でハイタッチ。記念ボードを掲げ、沸き上がる岡田コールに包まれた。「試合が終わって、やっと気づきました。今週火曜日にあと3勝と聞いてたんだけど、最初に2つ(ヤクルトに)負けたんで忘れてました」とにっこりだ。

阪神、オリックスと計8年間の監督経験を、タテジマ15年ぶりの現場復帰で遺憾なく発揮中だ。「守り勝つ野球」をモットーに、就任直後に大山を一塁、佐藤輝の三塁固定を明言。中野は遊撃から二塁にコンバートさせ、遊撃は木浪、小幡を競わせ、鉄壁の二遊間を作った。大竹や村上の能力を引き出し、青柳、西勇ら不調の投手陣にも助言を惜しまない。守護神湯浅を欠いても適材適所の起用で鉄壁のリリーフ陣を形成。攻撃陣にも主力問わずピンポイントでアドバイスを送る。瞬時の判断と緻密で的確な作戦を駆使し、「猛虎復活」へ一切の妥協はない。

先月、岡田監督の自宅に実家の仏壇が移された。僧侶を呼んで開眼(かいげん)供養を行い、86年に55歳で亡くなった父勇郎さんと再び同じ屋根の下で暮らす形となった。阪神の選手との関係も深く、タイガース愛に満ちあふれていた父の影響を幼少期から受けた。より身近になった父と一緒に白星を重ねていく。

恩師の訃報もあった。甲子園での6連戦開始前の8日に岡田監督の京都の後援会「メンバーズ80・岡田会」で事務局長を務める鵜飼忠男氏が病気で亡くなった。岡田監督は「(会創設の04年から)もうずっとよ。この前も(体が)やせとったからな」と残念そうに話した。鵜飼氏は今年1月に京都で行われた監督就任激励会でも、監督復帰の喜びをスピーチ。岡田監督が「アレ(=優勝)」するのを楽しみにしていた。

DeNAとの首位攻防戦に勝利し、3週間ぶりの首位タイに浮上した。「まだまだ試合がある。1試合1試合の積み重ねなんで、そういう気持ちでやるだけ」。至って冷静で600勝は通過点。「野球人生の集大成」として挑む第2次政権で目指す目標は「アレ」しかない。【古財稜明】

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